小池劇場の加速が止まらない──。
1月23日、小池百合子東京都知事の政治塾を運営する「都民ファーストの会」が地域政党として活動を開始。今夏の都議選にまず4人を公認することとした。
今後、小池サイドが候補者を続々と擁立していくことが可能なら、都議選は「ドン内田茂率いる自民党VS小池」となっていくのは必至。その前哨戦と位置付けられているのが、ご存じの通り、29日に告示される千代田区長選だ。
■―――――――――――――――――――― 【写真】五十嵐朝青氏サイトより
(http://asaoigarashi.com/)
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22日には、小池知事が現職の石川雅己・千代田区長の決起集会に参加した。
「この戦いを勝ち抜くことが、東京大改革を進める一歩になる」
そう高らかに宣言し、準備は万端だ。石川陣営の関係者も興奮を隠せないようだ。
「すでに、小池さんとのツーショットポスターを貼っています。次の当選で5選なので、多選批判も出るかもしれませんが、それを凌駕する人気が小池さんにはありますからね」
一方、頭を抱えるのが自民党東京都連だ。都連関係者が言う。
「内田さんが擁立しようした中央大学の佐々木信夫教授に出馬を断られました。結果的に、与謝野馨元財務相のおい、信氏を擁立することになったわけです。しかし、実のところ当初は楽観論もあったのです。というのも、石川区長は多選批判を受けるだろうし、彼は41歳と若い。それなりの票をとれると思ったのですが……」
誤算だったのは、第三の男が立候補を表明したからだという。
「元コンサルタント会社の五十嵐朝青候補ですよ。彼も同じ41歳。しかも、信さんよりもイケメンなんです。お互い票を食い合うことになるでしょう。しかも、公明党が今回は支援してくれませんからね」
そうなのだ。今回の区長選で公明党はダンマリを決め込んでいる。公明党関係者が重い口を開く。
「都議会でも連立を解消しましたからね。ただ、理由はそれだけではないんですよ。実は昨年末、うちの党が情勢調査を行ったのです。すると、現職区長が2万に対し、自民党候補は5000という結果でした。『夕刊フジ』が同じ数字を「某政党の調査」と書いていましたが、あれはウチですよ。当時は、まだ与謝野信氏の擁立は決まっていませんでしたが、こんな数字が出れば、誰であっても支援できるはずがありません。早々と撤退したというわけですよ。もちろん、国政では連立を組んでいますが、公明党本部も都連が言うことを聞かなくて、困っているのです」
今回の区長選でも、孤立を深めたドン内田都議の自民党は惨敗──との見方が優勢になっている。ではその結果何が起きるのか。都政担当記者が言う。
「完敗となれば、内田さんの求心力はますます低下します。すでに3人の都議が会派を離脱。中央区選出の立石晴康都議も自民党を離れようとしています。おそらく、大量離脱のタイミングは、来年度予算が決まる3月より前。予算決定の際には、会派として賛成か反対かを表明せねばなりません。都議団の意思表示を迫られるわけですから、会派にいたくない人はその前に脱藩するということになる。空中分解ですよ。そのきっかけになるのが千代田区長選の結果でしょうね」
人口に膾炙している諺に「沈む船から逃げること鼠の如し」がある。政治家は「所詮、落ちれば唯の人」には違いない。当選するためには手段は選ばないのが普通だとは言える。
とは言うものの、都議としての見識もネズミレベルとなると、かなり困ったことになる。更に「合従連衡」や「野合」は相当数の有権者が嫌いだということも、関係者は肝に命じるべきだろう。
(無料記事・了)