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私(わたし)の幸せな結婚 あらすじネタバレ 1巻

私(わたし)の幸せな結婚 1話あらすじネタバレ

「婚約」

歴史ある名家斎森家の長女斎森美世（さいもりみよ）は家族の中では使用人のような立場である。 　政略結婚をした実の母が亡くなった後、父親の元恋人が継母となった。 生まれた異母妹の香耶（かや）は、美世よりはるかに器量がよく、教養もあり、異能である「見鬼の才」まで持っている。 　そんなある日、美世が密かに想いを寄せる幼馴染みの辰石幸次（たついしこうじ）が斎森家の入り婿となることが決まった。相手は香耶。 　美世は追い出されるようにと久堂清霞（くどうきよか）に嫁ぐこととなった。彼は冷酷な人物として有名で、多くの良家の女性が婚約して三日と経たずに逃げてしまうという。 　早々に追い出されるか、あるいは冷酷無慈悲と噂の結婚相手に斬られるか。また使用人のように扱われるか。後のない美世は久堂家の門をくぐる。

「お初にお目にかかります、斎森美世と申します」

私(わたし)の幸せな結婚 2話あらすじネタバレ

「初めてのあさごはん」

異能持ちの家系の中でも名家の中の名家である久堂家。当主の清霞は帝大出身のの二十七歳、軍で少佐としてひとつの部隊を率いる立場だと聞く。さぞ豪勢な暮らしをしているだろうと思っていた美世だが、たどり着いたのは質素な一軒家だった。 　清霞は冷徹な雰囲気をまとった麗しい男性であった。『ここでは私の言うことに絶対に従え。私が出ていけと言ったら出ていけ。死ねと言ったら死ね』挨拶代わりに美世が言いつけられたのはそれだけだった。 　翌朝、美世は起床して早々困ってしまう。名家の妻ならば華道や茶道を嗜むものだろうが、久しく教育を受けていない美世には何もできない。仕方なく美世は炊事を始める。

使用人のゆり江の優しさに触れながら、完成させた朝食を清霞に給仕した美世だったが、清霞は「先に食べてみろ」と言う。戸惑う美世に清霞は「食べられないのか、ふん、毒でも盛ったか」と言い立ち去ってしまう。

私(わたし)の幸せな結婚 3話あらすじネタバレ

「初めてのゆうごはん」

　久堂家を追い落とそうとする斎森家の者の用意したものを簡単に食べるわけにはいかない清霞。しかし立ち去った後でゆり江に窘められる。ゆり江はどうも美世のことを気に入ったらしい。 　今までの清霞の婚約者は家や食事にわがままを言う、高慢な令嬢ばかりだった。ゆり江の言う通り、美世は今までの名家の令嬢とは何かが違うことに気づき始める。粗末な着物、痩せ細りあかぎれだらけの手、傷んで艶のない髪。自分の分の食事を用意せず、謝ってばかり。まるで使用人である。

　一方の美世は、自分を気にし始めた清霞の様子に、ほんの少し安堵を覚える。それと同時に、自分はなんの異能も持たず、久堂家の嫁としてふさわしくないことを自覚してしまう。

私(わたし)の幸せな結婚 4話あらすじネタバレ

「おかしな婚約者」

香耶に見鬼の才があるとわかったとき、家庭から美世の居場所が、価値が、どんどんなくなっていった。屋敷内は香耶を敬う空気になり、代わりに美世の扱いはぞんざいになっていく。使用人の花以外に味方がいない。異能もなく、他に何も誇れることのない自分は斎森家にいらない存在だと理解したのだった。 　そんな夢を見て美世は今日も早くに身を起こす。昨日の態度を詫び、朝食を用意させ、三人で一緒の朝食を摂るように取り計らった清霞だったが、美世の朝食に「美味い」と言ったとたん、美世が涙を流したのを見てギョッとする。よく聞いてみれば初めて料理を褒められたうれし涙だという。違和感は確信に変わった。清霞は斎森家について調査をはじめ、ゆり江にもそれとなく美世の背景を探るようにと伝える。

　一方そのころ斎森家と辰石家の当主は美世について話していた。美世は異能を持たないものの、美世の母は人心に干渉する力を持つ薄刃の家のものだったのだ。美世を捨てた斎森と美世を欲していた辰石。美世の知らないところで様々な思惑がうごめいていた。

私(わたし)の幸せな結婚 5話あらすじネタバレ

「矛盾する心」

「お前は、日中は何をして過ごしているんだ？」清霞がある日そんなことを聞いた。「ゆり江さんから雑誌を借りて読んだり……しています」と答える美世。繕い物をしているなどと言ったら、新しい着物をねだっていると思われそうで嫌なのだ。清霞やゆり江に嫌われたくないので誠実であろうとする一方で、実家や自分のこれまでの人生について告げ口するようなことはしたくなくて、隠してしまう。早くこの家から追い出されなければと考えつつ、嫌われたくないと思う。美世はそんな矛盾した気持ちを抱えていた。
　そして清霞は美世を街へと誘う。清霞に恥をかかせないようにと準備をする美世のもとに、ゆり江が化粧道具をもってきて化粧を施してくれた。物をもっていないことにはもう気づかれてしまっているのだ。

私(わたし)の幸せな結婚 6話あらすじネタバレ

「初めてのデェト 壱」

「何か、買いたい物とかほしい物、ないのか？」清霞に問われた美世は困惑する。物欲が失われてから久しいのだ。そんな美世を見て、清霞はふふ、と笑った。 高等小学校を出てからほとんど斎森の家を出ていない美世にとって外の世界は新鮮だった。夢中になってしまったことにハッとし、恥ずかしくなってうつむく美世に、清霞は優しい言葉をかける。歩調を合わせてくれる清霞の隣で美世は考えていた。 　もし、この人と釣り合うだけのものがあったなら。きっと、ずっとついていくのに。 　清霞の目的地は大きな呉服屋だった。奥へ招かれた清霞は美世に着物を選び始める。ふと目線を上げたところに美しい桜色の反物があった。美世に似合うだろうと考えていると、女主人が「今から仕立てると季節が合わなくなるかもしれません」という。清霞は「来年の春にまた着られる」と返し、仕立てを頼むのだった。 　店内に戻った清霞。美世がじっと見ている視線の先を追うと、あの桜色の反物だった。聞けば母の形見に似ていたらしい。遠慮の塊である美世を連れて、清霞は呉服屋を出た。

私(わたし)の幸せな結婚 7話あらすじネタバレ

「初めてのデェト 弐」

二人は休憩と腹ごしらえを兼ねて甘味処を訪れた。ふと「笑っているところを見てみたい」と言った清霞に美世はつい本音をこぼし、そして慌ててしまう。そんな美世に、「私たちはこのままいけば結婚する仲だ。思ったことは何でも言い合えるほうがいいだろう。」という清霞。異能も見鬼の才もないことは美世が自分から告げるべきなのだろう。しかし、少しでも長くこの人と暮らしたい、できるならば支えたいと美世は望んでしまっていた。 　その夜風呂から出た美世は部屋の前に箱が置かれていることに気づく。清霞が呉服屋で購入した櫛だ。髪にはやはり櫛のよしあしが関係してくる。実用面で、今の美世に贈るならこれしかないと考えた。しかし、櫛を贈るという行為には、求婚の意味がある。だから清霞はそっと部屋の前に置いておいたのだった。

　「大事に、使わせていただきますね」美世がほんのり笑っていた。

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私(わたし)の幸せな結婚 1巻感想

全編を通じて美世と清霞がお互いの心を溶かし合いながら愛を深めていく様子が描かれています。

「嫁としてふさわしくない」という気持ちと「ここにいたい」という気持ちの間で揺れ動く美世の心情はさすが顎木先生といった感じで、そんな美世を優しく包む清霞の様子には心惹かれざるを得ないでしょう。

そして薄幸の美世と女性と見まごうばかりに麗しい清霞を繊細なタッチで描かれる高坂先生の技量には脱帽です。

するすると心に入ってしみわたるそんな物語です。

　また穏やかな描写の裏で蠢く「薄刃の血」をめぐる思惑にはハラハラさせられます。

果たして美世は清霞に自分のことをきちんと伝えて、本当の幸せを掴むことができるのか。

続きの気になる作品です。

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