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いよいよ、2020年2月7日に映画が公開になりました!

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ヲタクに恋は難しい ネタバレ 映画キャスト 感想評価

pixivコミックから飛び出した大ヒットコミック「ヲタクに恋は難しい」が、福田監督率いる凄いスタッフ&キャストによって忠実な再現に加えてまさかの和製“ラ・ラ・ランド”化という美味し過ぎる実写映画になりました。

原作を知ってる、知らない人、ヲタ・非ヲタ…誰でも存分に楽しめる一本になっています!

主人公の桃瀬成海(高畑充希)は前の会社でついうっかりオタバレしたことが原因で失恋し、その趣味を吹聴されたことから会社に居づらくなって転職したというトラウマを抱えたOLです。

ピンクのスーツにストレートのセミロングヘア、ビジネスにも使えるかっちりとしたバッグやパンプスという鉄壁のOLスタイルを堅持し、一般人に“擬態”して新しい職場にやってきたというのに、そこに居たのは幼馴染のメガネ男子・二藤宏嵩(山崎賢人)だったのです。

彼は自らヲタクであることを特別隠しているわけでもない…廃人レベルのゲーヲタ(ゲーム廃人)だったのです。

会社の廊下ですれ違い…久々の再会に驚きながらも卒なく挨拶を交わして無事“ステージクリアか?!”と思われた去り際に、宏嵩は大きな地雷を踏みました。

「今度のコミケは参加するの?」

二人は小学校のころからお互いの家でゲームを楽しみ、漫画を楽しみ、お互いの嗜好のほぼすべてを知り尽くしているという間柄でした。

成海はゲームもたしなみますが、その本質はBL大好きな腐女子であり、アニメ作品の二次創作で漫画を描いて同人誌も出しているという本格的なヲタです。

しかもpixiv(ピクシブ=創作作品を発表するSNS)ではかなりの有名人であり、コミケなどではファンがわざわざその同人誌を買いにやってくるというポジションも確立していました。

そんな彼女に、宏嵩はヲタクにしかわからないアプローチをします。

ゲームのレベル上げも手伝うし、そっちの趣味(BL)は尊重するし、ヲタバレを恐れる心配もない…だから俺と付き合えば良いんじゃね?と。

「自分はヲタでも相手は一般人が良い~~~」

そんなアンビバレンツなことを言い続けていた成海でしたが。

彼女を篭絡した宏嵩の作戦は見事なものでした。

「次のコミケに“売り子”として同伴可能です」

つまり、自分の存在価値を“特有の最大規模のイベントで役に立てますよ”と売り込んで見せたのです。

それに対して、あらゆる雑念を排除した成海の脳みそのヲタ本能は即座に「採用!」と判断したのです。

その時の成海の表情は、眼(まなこ)半開きで獲物を見据えるハンターそのものでした。

しかし、そんな二人が交際開始当初から時間を一緒に過ごすなかで大きなウェイトを占めていたのはゲームです。
ヲタク全てがゲームをするわけではありませんが。

成海は普通にゲームをたしなむタイプなので、居酒屋や、どちらかの部屋でゲームを楽しむというのが彼らにとって普通のデートになっていたのです。

しかし、宏嵩はちょっと変わった提案をしてきます。

彼は、自分のジャンル(ゲーム)を堅持しているタイプのヲタクなので、「腐女子だけどゲームもやるしコスプレイヤーを見るのも大好き」という、比較的マルチなヲタクの成海とは“推し”に対するアプローチの仕方が異なります。

彼が言うには…普通は、まず外でデートすることから始まって、時間をかけて関係性を構築し、その末にやっとたどり着くのがお互いの部屋なのに、一足飛びに部屋でゲームってどうなんだろう、と。

そこで提案されたのが一般人のデートをして、恋人モードを初期化するという作戦です。

この辺りで、福田監督の凄い作戦が展開します。

それは、脳内妄想をそのままダダ漏れにしたかのように、歌い踊るキャストさんたちのミュージカルが展開されていくのです。

まず、冒頭で、東京ビッグサイトをバックに踊り狂う成海と宏嵩。

取り巻くコスプレイヤーさんたちのダンスもさることながら、日本を代表するミュージカル女優・高畑充希の歌と踊りが惜しみなく繰り出されている迫力が素晴らしいです。

「レ・ミゼラブル」が幼い頃から大好きでこの道を目指し、ホリプロミュージカル「ピーターパン」の主演を5年も続けた伝説の持ち主で、今年は「ミス・サイゴン」のヒロイン・キムをオーディションでゲットして全国ツアーも控えているという超・本格派の彼女と。

デビュー以来歌もダンスも苦手で避け続けたものの、半年かけてこのためにダンスの特訓を課し、一週間でこのシーンの振り付けをマスターしたという山崎賢人さんという、ある意味究極の凸凹コンビが、素晴らしいクオリティのダンスを披露し、見る者をこの“ヲタ恋”ワールドにぐいぐいと引きずり込んでくれるのです。

宏嵩が提案した“普通のデート”にも秘策があり…「ヲタク的な発言や行いがあった場合には、罰金として1000円を徴収する」という“ヲタク封印”縛りという…成海にとっては過酷なものでした。

その心意気として、一般人が王道のデートを楽しむだろう渋谷の、しかも109で待ち合わせをしたのですが。

成海の、それは一般人に擬態するための決意だったのか…なんと、金髪のウィッグにチェックのミニスカートでアイドルの女の子たちを従えて踊る、という、絶対に他では見ることができないスペシャルな高畑充希が見られました。

ちょっと無表情なのは欅坂辺りを意識しているのかなぁ、と思わずにいられない感じでしたが。

「ビリギャル」の有村架純ちゃんみたいで、大変可愛らしかったです。

プロモーションの動画でその時のことを「年とったなぁ、ってちょっとショックを受けた…周りで踊っていたアイドルの女の子たちが本当に若くてかわいかったので…」とコメントしていましたが。

まず、高畑充希さんがもう28歳になっていたことに驚き…そしてこれほどのチャーミングさ、可愛らしさを今なおみずみずしく保っていることに驚き…そんな彼女だからこそ、成海のヲタとしての赤裸々なリアクションや顔面崩壊も余すところなく再現(むしろそれを凌駕するほどのレベルで表現)してくれたことに対して敬意を表し、感謝したい気持ちでいっぱいです。

普通…あの年頃の女優さんなら、ちょっとあの表情はできなくないか?!…というほどの変顔も、ガンガンやり放題してくれていて、羞恥心とか“美”に対する意識といったものをすべて振り捨てて体現するという熱意は、同じフレームにおさまっていた賀来賢人さんを凌ぐレベルでした。

オープンなヲタであっても取り立ててそうした部分を発信しているわけでない宏嵩は、見た目も言動もほぼ非ヲタと変わりませんが。

成海はどちらかというとアグレッシブなヲタなので、宏嵩や仲良しのヲタ友達と一緒にいると、ついつい気が緩んでしまいます。

雑貨屋で買い物をしているときも、棚に並んだティーポットやマグを見てBLの妄想をついつい垂れ流してしまう…そして“ヲタク封印縛り”のタイムアップを宣言された時の安堵感など…ヲタクの身には解りみがあり過ぎるその感情表現が最高にチャーミングだったのです。

また、そうしたヲタクの、一つの究極の姿であるところの“同人活動”の描写がまた、大変濃やかに再現されているところも福田監督の拘りがぎゅぎゅぎゅっと詰まっていましたね。

会社のオフィスで、目元に紫色のクマをこしらえてフラフラになっている、まるでとあるゲームのゾンビモードに堕ちたかのような成海を見て、宏嵩はひと言さらりと耳打ちして尋ねました。

「“進捗”は?」

つまり、コミケに同人誌を出す場合、専門の印刷屋さんに入稿する厳然たる締め切りがあり、それに対して社会人でも学生でもプロでもアマでも、とにかく必死で原稿を描くのです。

その時の成海は、自分で引いたスケジュールが押しまくって間に合いそうになく、寝る間も惜しんで同人漫画の原稿を描いていたのです。

その夜から、宏嵩は自室のパソコンからネット経由で彼女の原稿を手伝い始めました。

こってり濃厚なBLです。

「ごめんねぇ…宏嵩にこんなこと手伝ってもらっちゃって…」

そう言いながらも、共同作業で原稿を埋めていく二人は、無事締め切り前に入稿を済ませ、成海はコミケで新刊を発行することができたのです。

仕事モードではピンクメインとはいえ、いつもスーツの成海が、レースをふんだんに使った可愛らしいファッションとヘアスタイルで参戦したコミケ。

サークル参加の同人作家さんは、皆さんそれぞれに個性豊かな自分らしさを前面に押し出したファッションが多いですが。

成海もある意味その典型で、オンタイムのビジネススタイルとは一線を画し、フェミニンな装いでキメキメです。

たとえ、…引っ張っているキャリーケースには濃厚なBLの新刊が詰まっているとしても!

同じ“島”には同じ作品の似たような傾向のサークルが集められている、ということは周囲の殆どがBLというジャンルの中に…眼鏡のイケメンがいるということで、異様な興奮と評判を呼んでしまう成海のスペースでしたが。

イベントでの仁義をわきまえている彼は、ハンティング(他のスペースへ同人誌をゲットしに行くこと)にも留守番と売り子を引き受けて送り出すというジェントルぶり。

周囲の女子たちが色めき立ったことで、成海は、もしかしたら初めて宏嵩の有能さと魅力を感じたのかもしれません。

その帰路、ファミレスで二人だけのアフター(イベント後のお疲れさま会)を過ごしているときも、余韻に浸ってスケッチブックに次の新刊の構想を練りながらネームを切っている成海を黙って見つめている宏嵩は、どんな時でもどんな彼女でも愛おしい、と思えるようになっていったのです。

が、しかし。

そんな彼の思考も、やっぱりちょっとズレたところがあったのか…。

コミケ後に、新しい仕事を割り振られて奔走しているうちに、ふと気づくと宏嵩のLINEに既読が付かず、会社も一週間休んでいることがわかりました。

…たまりまくった有休を消化するにしても、行方不明とは何事か?!と心配していた成海。

やっと既読が付いたと思ったら、某有名ホールに呼び出され、恐る恐る行ってみると、そこには驚愕の事実が待っていたのです。

それは、マレイタソ(内田真礼=まあや)というアイドル声優のライブでした。

揃いのピンクの法被にハチマキ、色が変わるペンライトのタイミングまでもが素晴らしくそろった見事なヲタ芸…踊り狂う男たちの群れの中に無表情ながら無心に踊り狂う宏嵩がいたのです。

彼をこの道に引きずり込んだのは、同僚でドルヲタの坂本(賀来賢人)でした。

“推し”であるマレイタソへの愛を惜しみなく表現するこのジャンルを学びたい、と宏嵩自身が望んで教えを乞うたのだというのです。

この坂本を演じた賀来賢人さんは、福田組の常連としていつも特濃な芝居を見せてくれますが、つい一週間前に公開された“AI崩壊”では優秀な研究者のイケメンとして、これまでに見たことのない“情熱を秘めながらも硬質なキャラクター”を演じており、この坂本とは対極の芝居を見せてくれました。

しかし、ここでは通常営業で、変顔やねっとりした粘着質な声、つまり“変人”として宏嵩に良くも悪くもプレッシャーをぐいぐいと与える芝居を見せています。

山崎さんはそうして迫る坂本のあまりの激しさに、真顔の宏嵩を作っているときに何度も笑ってしまい、NGを出してしまったのだとか。

事前に公開された動画やインタビュー記事などで、そういう裏話を知ってから見ると、そのシーンで笑いをこらえて必死だったというその鉄面皮の無表情っぷりが愛おしくなります。

さて、そんな成海と宏嵩の周りに、少し年長な男女が登場します。

成海の新しい上司・チームリーダーの樺倉(斎藤工)と、宏嵩の先輩の花子(菜々緒)です。

ライトなヲタである樺倉は最寄り駅が同じことから距離が縮まり、酒を飲むことが増えたのですが。

“好きなことをしてる彼女のことが好き”なのに、素直になれない切なさを、これまた素敵なミュージカルナンバーで成海と語り合う彼。

そして、成海の好きなアニメの世界を理解しようとしてハズしてドン引きされてしまい、落ち込む宏嵩は「彼女に“趣味”があるならその“趣味”ごと彼女を愛する位の度量はないわけ?!」と花子から一喝されてしまったのです。
実は、その二人=樺倉と花子は付き合っていました。

しかし、口の悪い樺倉は真摯な想いとは裏腹に花子の地雷を踏みまくっていたのです。

花子は知る人ぞ知るハイレベルなコスプレイヤーでした。

樺倉に一緒に“刀剣乱舞”のコス合わせ(一緒に同じシリーズのキャラクターになりきってコスプレを楽しむこと)に誘ってもノッてこず、しかもついうっかり樺倉が「…年齢的にキツイ」と口走ってしまったことで大喧嘩に発展してしまった二人。

樺倉たちも、成海たちも、それぞれに互いの中にある感情をさらけ出したことで、お互いを認め合い、愛しあっていることがはっきり伝わったのです。

ヲタでも、非ヲタでも。

“恋”は相手のあることで…さらに言うと、ヲタにはそれぞれのジャンルと“推し”…場合によっては“神!”とあがめるべき至高の存在があり、互いにそうしたものまですべてを尊重し合うというのは難しいことではあるけれど。

そこに“愛”があれば!

ちゃんと通じてシアワセなっていけるんだよ!ということを前面に押し出した、ハッピーエンドの“ラブストーリー”でラ・ラ・ランドでしっかり福田監督テイストの楽しい映画でした。

“DON’T THINK, FEEL!!!!!”ですよ。

怒涛のオタ用語の嵐に惑わされず、物語の本質を感じて欲しい___そんな映画でした。

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