「ゲンダイの報道で正確なのは『山健組と住吉会』という対立の部分だけで、睨み合いの原因を『シノギに関するトラブル』と書くなど、いかにも曖昧です。真相は、さる山健組の最高幹部と住吉会が巨額のシノギを共に行ったのですが、住吉会側が報酬を支払わなかったということにあります」
事情通氏は「金額も聞いていますが、それは勘弁して下さい」と言う。
「ですから人数の違いに意味はありません。山健側は幹部個人のシノギで起きたトラブルですから、そもそも大勢で行く必要がない。一方の住吉会は本部が赤坂ですから、60人程度の動員をかけるのは何の造作もありません」
山健組には「掛け合いは複数で行うな」との教えがあるという。
「ヤクザの用語で交渉事を『掛け合い』と言うのですが、山健組の交渉は、相手が何人いようとも、単独で相手に向かうのが決まりです。万が一、殺されたとしたら、組は必ず報復します。だからこそ組員は1人で相手の前に立つことができますし、相手側もそれを分かっています。山健組の人間が1人で来ても、危害を加えるようなことはしません。こういうことでも、山健組の〝威光〟が維持されるというわけです」(同・事情通)
ゲンダイが報じた「神戸側10人」は赤坂のとあるホテルの前で待機していたのだが、教えの通り、掛け合いには1人で向かったという。
「この事件が、大きな抗争に発展することは100パーセントあり得ません。山健組と付きあいのある親分が仲介に入り、間もなく解決するはずです。そして、住吉会が報酬を支払っても、山健組の幹部は仲介してくれた親分と、自分の親分に全て渡してしまうはずです。だからこそ幹部として人望を集めているというわけです」(同・事情通)
全額を渡してしまうというのは、さすがにもったいない──市井の人間なら、そう思う向きが圧倒的多数だろう。どんな組織にあっても、やはり幹部というのは大変なようだ。事情通氏は「そういう幹部が脇を固めているからこそ、山健組トップ、井上邦雄組長のカリスマ性も際立つわけです」と指摘する。
(無料記事・了)