江津青年会議所と嘉久志神楽子ども会さんで、隠れ岩の動画に字幕で口上や口語訳、解説を入れました。
ストーリーの理解はもとより、神楽歌のカラオケにもご利用できます。
出演・協力・監修:嘉久志神楽子ども会
字幕無しのオリジナル動画:https://youtu.be/ZpIG-RP8Mu4
後援:江津市石見神楽連絡協議会、江津市観光協会、江津市、石見観光振興協議会
企画・制作:一般社団法人江津青年会議所
※この動画はリンクフリーです。
※解説は嘉久志神楽子ども会の解釈によります。
隠れ岩は、嘉久志町の地名由来の伝説を元に昭和50年に創作された、嘉久志神楽子ども会独自の創作演目です。
【あらすじ】
その昔、石見の国波子の里(今の波子町)の浜辺に一そうの小舟が流れ着いているのを近くに住むおじいさんが見つけ舟の内を見ると、六才か七才位のかわいらしい女の子が一人のっていました。
おじいさんは家に連れてかえり、おばあさんと相談して、自分達には子供がいないので、子供にならんかと聞くと、女の子は「こっくり」とうなづきました。二人は大変よろこんで大事に育てました。
さて、月日がたって女の子は十三才になった十二月のある夜、出雲の方の空が真っ赤になっていました。女の子はそれを見て、おじいさんに「あのように火の手が上がっているのは、私の里に一大事が起こり私を呼んでいるのです。実は私は出雲の神の子として生まれ、名を田霧姫と申します。今まで大事に育ててもらったが帰らねばならない時がきました。」と初めて打ち明けました。おじいさん達は大変おどろき、嘆き悲しみ、姫を引き止めました。
しかし姫は、数日後の夜おじいさん達が寝ているすきに、そっと家を忍び出ました。おじいさん達は眼がさめて姫の姿が見えないのにおどろき、二人で後を追いかけ、今の嘉久志町の新川のあたりで見つけたのですが、姫は近くの岩影にかくれ、おじいさん達を見過ごしました。
その岩が今の岩根神社のある付近で、かくした事から「かくし」と云う地名が出来たと云うことです。
おじいさん達は先へ急ぎ江の川を渡り、高仙山(浅利富士)までたどり着いたが力つきて亡くなりました。現在じいの池、ばあの池として残っています。また、白鷺明神として祀られていると云うことです。
また、姫は途中迎えの者と会い、悪人共と戦い出雲の国を守護したと伝えられています。
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【テロップ内容】
隠れ岩は、嘉久志町の地名由来の伝説を元に昭和50年に創作された、嘉久志神楽子ども会独自の創作演目です。
歌「氏子をば我れこそ守れ千代までも 隠れの岩と田霧姫神」
意訳「氏子を私が守ってやるぞ 千代までも守ってやるぞ 隠れ岩と田霧姫の神が」
歌「万代と祈り治むるこの村に 悪魔は寄せじさよにふらせうや」
意訳「いつまでも続くことを祈り、治めているこの村に、悪魔は寄せない。永久にそういう世の中を続けたいものだ」
歌「世の中の善きも悪しきもことごとに 神の心のしわざにぞある」
意訳「世の中の良いことも悪いことも ことごとく神の御業であるぞ」
田霧姫「自らは建速須佐之男命の三女神の御子にして、田霧姫の命なり。今度出雲国に荒ぶる悪人ども横行し、民安からず。その乱れをや、静めんと思うなり」
田霧姫「私はタケハヤスサノオの命の子供である三女神のうちの一人、田霧姫の命です。この度、出雲国に乱暴者たちが横行し、人々は心中穏やかでなく、不安に思っています。その乱れを、静めようと思っています。」
随身「これはこれは有難き事に候。自らも御供仕り候」
従者「これはこれはありがたい事でございます。私もお供いたします。」
歌「八雲たつ出雲の神をいかに思う 田霧姫神人は知らずや」
意訳「出雲の神をどういう方だと思うか それは田霧姫の神という尊い神だ それを知らないのか」
田霧姫「自らは幼少にして石見の国波子の里に着きてより今日まで慈しみを受けし翁媼これ二人あるべし。今この地へと捜し参らせるものなれば、この岩の辺りに身を隠し、事の様子を見定めんと思うなり」
田霧姫「私は幼少の頃に、石見の国波子の里に着いて、それ以来今日まで慈しみを受けた、おじいさんとおばあさんの二人がいます。その二人が今この地へと私を捜しに来たので、この岩の辺りに身を隠し、事の様子を見定めようと思います。」
随身「畏まって候」
従者「承知しました。」
翁「そもそも我らは出雲の国へ急ぎ参らせる田霧姫の命を波子の里へと御連れ申すべく尋ね歩き、今此の地に着て候。早く田霧姫の命を御捜し候や」
おじいさん「私たちは出雲の国へ急ぎ向かっている田霧姫の命を波子の里へと連れ戻すために尋ね歩いて、今この地に着いたのです。早く田霧姫の命を捜しましょう。」
媼「畏まって候」
おばあさん「わかりました。」
悪人①「我はこれ出雲の国を押領せんとする悪人とは我らがことなり。今度、田霧姫の命が石見の国よりこの出雲の国へかえり、我らを打取るとのことと聞くが、よき計りごとはなきや」
悪人①「出雲の国を奪い取ろうとする悪人とは我らのことである。この度、田霧姫の命が石見の国よりこの出雲の国へかえり、我らを打ち倒すとのことと聞くが、よい策略はないか?」
悪人②「されば我らはこれより田霧姫の命を待伏せし、だまし打ちせんと思うなり」
悪人②「ならば我らはこれより田霧姫の命を待伏せし、だまし打ちしようと思うのです。」
悪人①「それはよき計りごとにて候。されば向こうの薮の内に隠ればやと思うなり」
悪人①「それは良い策略ですね。ならば向こうの薮の内に隠れようと思います。」
悪人①②「それに向かいたるは如何なる神やらん」
悪人①②「そこに立ち向かってくるのは、どのような神だろうか?」
田霧姫「自らは、田霧姫の命なり。汝いかなる者やらん」
田霧姫「私は、田霧姫の命です。あなた方は何者ですか?」
悪人①②「やあやあ我らは今度出雲の国を押領せんと今ここに立ちふさがって田霧姫の命を打ち取らんと思うなり」
悪人①②「やあやあ我らは今度出雲の国を奪い取ろうと今ここに立ちふさがって、田霧姫の命を打ち取ろうとしているのだ。」
随身「愚かなことを申す哉。田霧姫の命を如何なる神と思うかな。日の神 天照大御神の御弟 建速須佐男命の御子なり。汝一命惜しむものなら早々この地を明渡すべし」
従者「愚かなことを申すものだなぁ。田霧姫の命をどのような神と思っているのか。日の神 アマテラス大御神の御弟 タケハヤスサノオの命の子供です。あなた方は命が惜しければ、さっさとこの地を明け渡しなさい。」
悪人①②「あーらおかしやなおもしろやな。いざや刃合勝負を決せん」
悪人①②「ああ、おかしいなぁ、おもしろいなぁ。いざ立ち合い、勝負を決しようじゃないか。」
「あら嬉し悪(あら)ぶる者ども退治せり。今よりこの地を隠しの岩の郷と命名し、田霧姫の御神徳(ごしんとく)を称え末永く十羅(じゅうら)の社(やしろ)へ祭祀らむ」
「ああ喜ばしい、悪い者たちを退治しました。今よりこの地を隠しの岩の郷と命名し、田霧姫の御神徳をたたえ、末永く十羅の社へ祀ります。」