『上司の9割は部下の成長に無関心』(PHPビジネス新書)──じわりとボディーブローのように効くタイトルだ。上司なら図星を指されたと感じ、部下なら溜飲を下げるかもしれない。 著者の前川孝雄氏は、リクルートで『リクナビ』や『ケイコとマナブ』などの話題雑誌に編集長として携わり、退職後に人材育成コンサルティング会社『FeelWorks』を立ち上げた。ちなみに設立当初は自身が住むマンションの1室が〝本社〟で、社員は〝社長兼〟の前川氏だけだったという。 そんな前川氏の思い入れの強い業務の1つに、創業以来8年間続けている「上司力研修」がある。 「上司力なんて研修できるのか?」と疑問に感じた人はむしろ幸いだろう。 前川氏は世界でもトップクラスの「上司と面談した」経験を持ち、多くの中間管理職が「部下の成長や育成に関心を持ちたくても、とてもそんな余裕はありません」と悲鳴を上げる姿を間近で見続けてきた。 このままでは日本企業から「人が育つ現場」が消滅してしまう──。
前川氏の危機感が、この新書を執筆した一番の動機だったという。