被害者男性(以下、被害者) 銀行から借り入れようということになって、「いくら借りましょうか」という相談と、「借り入れを行うためには源泉徴収票が必要なので用意して下さい」という説明がありました。
そのため年末調整で会社から送られてくる源泉徴収票が自宅にあったので、それを写メで撮影し、無料通話アプリのLINEで送りました。
すると、私はサラリーマン時代の給与が低かったので、源泉徴収票を見た向う側が「これだと、あまり借り入れられませんね。大きく運用できないですね」と言ってきたんです。
そのため、最終的には向こうが源泉徴収票を偽造して、私の給与を増やしました。
──これは立派な有印私文書偽造罪ですよね?
被害者 私は詳しいことは分かりません。
──源泉徴収票を偽造するための費用を、何かの理屈で請求されませんでしたか?
被害者 いえ、びた一文、要求されていないですね。
──偽造した源泉徴収票を持って、どこに行くように言われましたか?
被害者 メガバンク2行です。いつの時点か記憶はありませんが、向う側が「消費者金融も使えるけど、あなたの信用情報は綺麗だし、先々のビジネスを考えると銀行の方がいいだろう」と言っていました。
──結局、審査は通った?
被害者 通りました。1行で200万円、1行で100万円の借り入れを依頼したんですが、私の口座に振り込まれました。
──偽造された源泉徴収票は今、どこにありますか?
被害者 済んだら返して下さいと言われて、返しました。
──振り込まれたお金は、どうしたんですか?
被害者 口座から出金して、現金を椿屋珈琲店に持っていきました。
──これまでに投資をされたことはありますか?
被害者 証券会社を通じて株を買ったことがあります。3、4年前だと思います。
──もともと、投資に興味があったんですか?
被害者 興味はありました。投資についての知識を多少は持っていると思っています。
──知識があったなら、向う側の説明に疑問を感じたりしなかったんですか?
被害者 完全に信じていたわけではないんです。引っかかった場面も、何回かありました。向う側も強引に説き伏せてきたわけではありません。それでも騙されてしまったというのは、やはり独立の不安から、「定期的に現金が入ってくるなら、それは助かるな」と期待してしまったというのは大きいと思います。
──今のような冷静な精神状態だったら、詐欺だと気づきましたか?
被害者 だと思います。
(第4回につづく)