「津山30人殺し事件(1938=昭和13年)」に匹敵する被害者を出す殺人事件が、21世紀の日本で発生すると誰が予測しただろうか。16年7月26日に発生した「相模原障害者施設殺傷事件」は死者19人、負傷者26人と戦後最悪の殺傷者数となった。だが戦前に遡っても「愛知貰い子殺し事件(1913=大正2年)」の「推計200人以上殺人」は別格だが、明治維新以来という時間軸でもワースト10に入ってしまうのは確実のようだ。いかに凄惨な事件なのか、改めて思い知らされる。
この「津久井やまゆり園」で以前は職員として勤務していた植松聖容疑者(26)の異常な思想が注目されているのは、ご存じの通りだ。闇の深さは戦慄さえ覚えるが、現場を丁寧に回る記者たちには別の闇、それも記事化不能な闇に直面しているのだという。それは被害者遺族や、施設にまつわるものらしい。
■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】3100字 【写真】送検時の植松容疑者(写真提供 共同通信社)
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