2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場見直し問題は、小池百合子・都知事が「見直す」とした3会場は全て当初計画に戻り、決着を迎えた。
見直しを検討することで、コストカットが進んだと擁護する声もあるが、「大山鳴動して鼠一匹」の徒労感は大きい。五輪組織委員会の森喜朗会長が「時間はかかりましたが……(知事の)学習期間だったのかな」と当て擦る一幕もあった。
■―――――――――――――――――――― 【写真】川淵三郎氏公式Twitterより
(https://twitter.com/_kawabuchi)
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騒動に直面してきた関係者は、こう言って溜息をつく。
「非常に情けないことに、本来なら五輪の主役であるべきスポーツ界は、一連の騒動で完全に蚊帳の外に置かれました。招致時には団結したように見えていましたが、いざとなるとからきし力がないことを見事に露呈しましたね」
最終決定機関として「4者協議」の場が設けられたが、都知事、組織委、国、IOC(国際オリンピック委員会)が構成メンバー。本来であれば、日本スポーツ界の総本山たるJOC(日本オリンピック委員会)も入らなければならないはずなのだが、遂にお呼びはかからなかった。
カウンターパートであるはずの丸川珠代・五輪相もお飾りに過ぎず、何ら影響力がない。そもそも報道に価する発言すらないのだ。その結果──。
「小池知事が突っ張りながら突っ走り、森会長がいちゃもんをつけ、周囲は白ける、という場面の繰返しでした」(前出の関係者)
別の関係者は、バレーボール会場となる有明アリーナをめぐって、以下のようなやりとりがあった、と明かす。
元サッカー協会会長で、国内プロスポーツリーグの集合体である『日本トップリーグ連携機構』の会長も務める川淵三郎氏が、バレーボール協会の木村憲治会長に「五輪後もスタンドを満員にしてみせる、と表明しろ」と迫ったが、ミュンヘン五輪の松平一家で金メダリストの木村会長は、これに返事もできなかった、というのだ。
「競技団体であっても、これくらいの当事者意識しかないわけですよ。小池知事が大会後の施設維持に不安になったとしても、無理はないでしょう。見かねた川淵さんが、前会長として影響下にあるバスケットやフットサル、卓球などの他団体も巻き込み、音楽業界にも相談して『日本のマディソンスクエアガーデン構想』をぶち上げ、小池知事はこれを『有明レガシー・エリア』と命名を変えて乗っかりましたが、何もかもが後手後手になってしまいましたね」(別の関係者)
要するに、こうした構想こそ、組織委が責任を持って取りまとめ、発表すべきであることは言うまでもない。川淵氏も既に80歳。なのに同氏に代わるリーダーがいないことも、東京オリンピックが迷走している一因だろう。
(無料記事・了)