東京オリンピック | イエロージャーナル

2017年1月17日

【無料記事】東京五輪「迷走」原因は「ポスト川淵」不在説

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場見直し問題は、小池百合子・都知事が「見直す」とした3会場は全て当初計画に戻り、決着を迎えた。

 見直しを検討することで、コストカットが進んだと擁護する声もあるが、「大山鳴動して鼠一匹」の徒労感は大きい。五輪組織委員会の森喜朗会長が「時間はかかりましたが……(知事の)学習期間だったのかな」と当て擦る一幕もあった。

■―――――――――――――――――――― 【写真】川淵三郎氏公式Twitterより

(https://twitter.com/_kawabuchi)

■――――――――――――――――――――

 騒動に直面してきた関係者は、こう言って溜息をつく。

「非常に情けないことに、本来なら五輪の主役であるべきスポーツ界は、一連の騒動で完全に蚊帳の外に置かれました。招致時には団結したように見えていましたが、いざとなるとからきし力がないことを見事に露呈しましたね」

 最終決定機関として「4者協議」の場が設けられたが、都知事、組織委、国、IOC(国際オリンピック委員会)が構成メンバー。本来であれば、日本スポーツ界の総本山たるJOC(日本オリンピック委員会)も入らなければならないはずなのだが、遂にお呼びはかからなかった。

 カウンターパートであるはずの丸川珠代・五輪相もお飾りに過ぎず、何ら影響力がない。そもそも報道に価する発言すらないのだ。その結果──。

「小池知事が突っ張りながら突っ走り、森会長がいちゃもんをつけ、周囲は白ける、という場面の繰返しでした」(前出の関係者)

 別の関係者は、バレーボール会場となる有明アリーナをめぐって、以下のようなやりとりがあった、と明かす。

 元サッカー協会会長で、国内プロスポーツリーグの集合体である『日本トップリーグ連携機構』の会長も務める川淵三郎氏が、バレーボール協会の木村憲治会長に「五輪後もスタンドを満員にしてみせる、と表明しろ」と迫ったが、ミュンヘン五輪の松平一家で金メダリストの木村会長は、これに返事もできなかった、というのだ。

「競技団体であっても、これくらいの当事者意識しかないわけですよ。小池知事が大会後の施設維持に不安になったとしても、無理はないでしょう。見かねた川淵さんが、前会長として影響下にあるバスケットやフットサル、卓球などの他団体も巻き込み、音楽業界にも相談して『日本のマディソンスクエアガーデン構想』をぶち上げ、小池知事はこれを『有明レガシー・エリア』と命名を変えて乗っかりましたが、何もかもが後手後手になってしまいましたね」(別の関係者)

 要するに、こうした構想こそ、組織委が責任を持って取りまとめ、発表すべきであることは言うまでもない。川淵氏も既に80歳。なのに同氏に代わるリーダーがいないことも、東京オリンピックが迷走している一因だろう。

(無料記事・了)

2016年12月28日

【無料記事】五輪招致で「放蕩」石原慎太郎・猪瀬直樹「原罪」

 2009年9月12日、朝日新聞は『石原知事、26日から出張 デンマークでIOC総会/東京都』の記事を掲載した。

 当時の石原慎太郎・東京都知事が2016年夏季五輪開催地を決定するIOC総会に出席するため、9月26日から10月4日の日程で、デンマーク・コペンハーゲンに出張、という日程を伝えたものだ。

 文中では、定例会見における石原知事の発言も引用されている。

「IOC委員に対し、最後の瞬間まで東京招致への支持を求めていく。招致を望む都民、国民の熱い思いを胸に、招致を獲得してまいりたい」

 結果はリオ五輪となったのは、ご存じの通りだ。その9月26日の夜。石原知事はデンマークへ旅立ち、東京・新宿の居酒屋では、都庁幹部が、こんな胸の内を漏らしていた。

「慎ちゃんも、ファーストクラスで、また欧州ワインツアーの豪遊だよ。気楽なもんだよな。後から議会につつかれないように交際費を処理するこっちの身にもなってほしいよ」 ■―――――――――――――――――――― 【著者】下赤坂三郎 【写真】2007年6月、副知事の人事案が可決され、取材に応じる猪瀬直樹氏(左)と、石原慎太郎都知事(当時)(撮影 産経新聞社) ■―――――――――――――――――――   この年の6月には、スイスのローザンヌで、候補の4都市によるプレゼンテーションが行われた。シカゴ、リオデジャネイロ、マドリード、そして東京という顔触れだ。この時、同行した都庁関係者はもとより、JOCの関係者でさえ、石原知事の〝放蕩〟ぶりには呆れ返ったという。  

 先の都庁幹部は完全に諦念し、白旗を掲げていた。

「大体、今の都庁で、まともに仕事をやろうなんてムードはないですよ。目立ちたがり屋で、朝令暮改ばかりの慎ちゃんの下で、まともな政策なんてできないんだから。皆、じーっと、慎ちゃんの任期が終わるのを待っているわけ。慎ちゃんは自分の任期最後、打上げ花火としてオリンピック召致を果たしたかったんだろうけど、振り回されるこっちの身にもなってほしいよ。それで、帰国すればまた、ワイン漬けの清算処理ばかり押し付けられるんだから」

 この時期に、都庁職員のモチベーションが著しく低下したことは、築地市場の移転問題が現在も迷走している遠因の1つに挙げられる。

 市場が豊洲に移転した後、築地の跡地にはメディアセンターが建てられる計画だ。もし石原都政下の職員が五輪招致で一致団結していれば、ここまで混乱しなかったに違いない。小池百合子・都知事の誕生で、職員は「さあ大変だ」と大慌てしているものの、失われた貴重な時間を取り戻すのは、なかなか難しい。

 石原都政は五輪招致を派手に打ち上げたが、インフラ整備のメドさえつかない状況は長く続いた。全く信じられない話だが、当時は副知事だった猪瀬直樹氏は知事に「諫言」するどころか、「慎太郎の親衛隊」らしく、周囲にはこんな風に嘯いていたという。

「仮にな、オリンピックが駄目でも、それをやろうという気運で緑化が進んだり、温暖化対策を進めたりするきっかけになれば、そこに意味があるんだよ」

 だが、これこそ「ご都合主義」以外の何物でもない。別の都庁幹部も怒りを滲ませながら、正論を吐く。

「緑の東京を作るために、オリンピック招致で5000億円近くつぎ込むんだったら、最初から、緑化事業に5000億をつぎ込めばいいだけの話でしょう」

 五輪招致は当初から東京の劣勢が伝えられていた。おまけに対抗馬のシカゴは「世界のオバマ」を担ぎ出すことに成功。日本側も鳩山由紀夫首相をプレゼンに出席させたが、都庁職員は「ワシ(※註:アメリカの国鳥はハクトウワシ)とハトでは、その力の差は火を見るより明らか」と自虐ネタにするほどだった。

 だが多くの関係者が石原都知事の豪遊を呆れて見つめる一方で、舞台への復帰を狙う堤義明・元コクド会長は、援護射撃のつもりか、様々な動きを繰り広げていた。

「本当のところ、どんな狙いがあったのかは分かりませんが、サマランチ元会長をはじめ、海外のIOC幹部に電話をかけまくり、東京オリンピック招致を働きかけていました。彼としては執行猶予が終わり、更に招致に成功して『影の功労者』として認知されれば、再び日の当たる場所に出られると考えたのかもしれません」(関係者)

 確かに東京五輪の招致に成功した現在、堤氏はオリンピック委員会の顧問に収まった。「形ばかり」という酷評もあるとはいえ、表舞台への復帰を果たしたのだ。

 長野オリンピックを実現させたのだから、確かに堤氏は豪腕の持主なのだ。そんな「元西武グループ総帥」の孤独な電話外交を知ってか知らでか、デンマークの石原都知事はロビー活動と称し、毎夜のワイン三昧。

「知事は酔って、へべれけです」と随行員からメールで連絡を受ける都庁幹部は、再び天を仰ぎ、「あといくつ寝れば、慎ちゃんは任期満了か」と指折り数える……。

 そんな舞台裏だったにもかかわらず、帰国した石原知事は「プレゼンは緻密で完璧なものだった」と自信満々に総括した。東京五輪に名乗りをあげて以来、常に石原知事は自画自讃のコメントを連発していた。それを幾度となく聞かされる招致委員会の面々には、さすがに白けた空気が漂っていたという。

「新銀行東京でも、あれだけ都民の税金を無駄遣いしたのに、知事自らファーストクラスに乗っての大名旅行ですからね。あの人の貴族趣味は昔からですが、その病気は副知事にも伝染しました。猪瀬さんも早速、『俺の海外視察も、なんでファーストクラスじゃないんだ』と事務方にねじ込みましたから」(都庁職員)

 この招致活動では、海外渡航費だけでも、一体、いくらの税金が消えたことか。副知事秘書の経験者は「知事が海外の会議に出席すると、だいたい2000万円は吹っ飛びますよ」と明かす。後は推して知るべしだろう。

 この頃、国民は麻生政権から続く景気低迷に苦しんでいたが、東京都は歯牙にもかけなかったということになる。おまけに知事が自ら絶賛したプレゼンも、同行した招致委のメンバーは真逆の評価を下す。

「東京五輪はコンパクトだ、緑化だ、と独りよがりにコンセプトを打ち出しているだけでしたよ。何でも北京五輪は渋滞がひどく、競技会場に選手の到着が遅れたらしいんです。そんな程度の理由で、電通が『コンパクト』を提案し、オウム返しに言っているに過ぎません。何もかも日本人らしい神経質さが全面に出てしまっていて、オリンピックらしい夢は皆無でした」

 それでも悲願の東京五輪を勝ち取ったわけだが、そうなると、あの「コンパクト」はどこに行ったのだと呆れ返るほど予算が膨れ上がっていく。

 そもそも五輪招致では、原点の原点からお粗末なものだったから当然だという声もある。産業労働局の幹部が振り返る。

「IOCのメンバーや、海外の有力者向けのパンフレット『東京カラーズ』の作成では、委託した海外デザイナーとトラブルになりましたし、文中に誤植があり、『自慰』を意味する俗語が表記されていたんです。これを都は修正せず、そのまま海外で配ったんですよ。もう、何と言えばいいのか……。おまけに、このミスを石原都知事に知られないよう、必死に隠蔽したんです」

 石原=猪瀬のコンビは、馬鹿馬鹿しいまで招致のお祭り騒ぎを繰り広げてきた。この原罪にこそ、小池都知事は切り込むべきだろう。猪瀬氏を小池塾の講師にまで招いたが、それこそ利敵行為と知るべきだ。

2016年12月8日

【完全無料記事】王氏「五輪委」理事就任は「小池VS森」第2幕

 現在のところ、2020年東京オリンピックに関する最大の関心事は、小池百合子・東京都知事(64)と、五輪組織委員会会長・森喜朗元首相(79)の〝暗闘〟だと断言していいだろう。

 そんな中、ひっそりと(?)プロ野球ソフトバンク・王貞治会長(76)を新理事として迎え入れる人事が発表された。追加種目に決まった野球やソフトボールなど5競技の代表として運営に携わる。

 全くサプライズのかけらもない、日本人なら誰もが「そうなんだろうね」と頷くニュースのはずだ。だが事情に詳しい関係者たちは、こぞって「これこそ、小池VS森の新たな局面入りを示すものですよ」と読み解くのだ。

■―――――――――――――――――――― 【写真】『東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会』公式サイトより、大会エンブレムを発表した王貞治氏(左)

(https://tokyo2020.jp/jp/news/notice/20160427-02.html)

■――――――――――――――――――――

 何しろ小池知事には、いまだに世論の絶大を受けている。その勢いに乗じて、東京都議会の「ドン」こと内田茂・自民党都議(77)と、森元首相への追及を強めていた。2人の密接な関係は、これまで報道された通りだ。

 失敗に終わったが、ボートなどの会場見直し問題を提起したのも、究極の狙いは森=内田ラインに対する攻撃だったのだ。成功すれば世論の喝采が「政治的功績」を演出し、小池知事の政治的影響力は今以上にアップしただろう。つまり「女性初の首相」を求める声が強まるということだ。

 ところが一方の森元首相も、さすがの古狸だ。いつまでもやられっぱなしのはずもない。得意の「政治的嗅覚」で対抗策を打ってきた。それこそが王氏の組織委招聘だというのである。

 先に見た王氏の「野球などを代表してもらう」との招聘理由に異議を唱える日本人は皆無に違いない。また王氏はエンブレム委員会の委員にも就任しており、既に2020東京五輪に関与した〝実積〟もある。理事に就任しても唐突な印象はゼロだ。

 だが、そんなことが目的で、この人事が行われたのではないのだという。さる自民党関係者が「これは『二階対策』なんですよ」明かす。

「王さんと関係が深い政治家といえば、二階俊博幹事長です。二階さんは王さんが当時の福岡ダイエーホークスの監督に就任したころから親交を結び、王さんが理事長に就く一般社団法人『世界少年野球推進財団』の設立にも協力しています。二階さんの事務所には王さんのサインボールやツーショットの写真が飾られていますし、二階さんが海外の要人と会談するときには、王さんのサインボールをお土産にしているほどです。こうなると2人の関係は親交というより深交と呼ぶべきでしょうね」

 二階幹事長は先の都知事選で、自民党都連が推した増田寛也元総務相(64)を支持せず、裏で小池氏支持に回った。増田氏を応援していた特別区長会でも、会長で、衆院議員時代は二階氏の「子分」で知られた西川太一郎・荒川区長(74)も小池氏支持に回った。

 更に都知事選に立候補し、森氏らの辞任を公約に掲げた山口敏夫元労相(76)が、村上正邦元労相(84)や亀井静香元金融相(80)と共に「二階幹事長支持」を表明、接近を図っている。山口氏らの狙いは「二階さんを通じた森おろし」(永田町関係者)だという。

 森元首相に対する「二階包囲網」が着々と構築されつつあり、だからこそ森元首相は王氏を必要としたのだという。

「森さんは、王さんを〝人質〟に取ったんですよ。王さんを通じて、二階さんを自陣に引き込もうとしているわけです。これが成功して、一定の関係を構築できれば、二階さんに『小池封じ』で一役買ってほしいとも考えているのではないでしょうか」(前出の自民党関係者)

 敵の親友を自陣に引き入れるというのは、なかなかの奇策と言えるかどうか。しかしながら、王氏の就任は森元首相にとって「諸刃の剣」との見方もある。

「二階さんからすると、王さんを通じて組織委に手を突っ込んで、かき回すことができるようになったわけですからね」(前出の永田町関係者)

 元首相と現職の幹事長が、「世界の王」を自分サイドに引き入れようと、綱引きをしている図というわけだ。

 滑稽と笑うか、政治とはそういうものだと頷くかは人それぞれだろう。いずれにしても、東京五輪の成功とは無縁の動きであることは間違いない。

(完全無料記事・了)

2016年11月9日

【検証・小池劇場②】小池側が恐れる「腰抜けイメージ」

 意外にも新聞やテレビは大きく取り上げないが、小池百合子・都知事に対する世論調査では何と、未だに支持率は上昇を続けている。さる調査では9月時点で「都知事支持」の回答は約81%に達し、10月になると更に4ポイントを上乗せした。支持率90%が出てしまった社もある。やはり「小池劇場」の〝女座長〟は圧倒的な人気なのだ。  さぞかし小池知事の「取り巻き」もホクホク顔だろうと思うのだが、案に相違して表情は明るくない。これほどの人気に何が不満なのかと詰問したくなるが、彼らには切実な理由があるという。順風満帆に見える小池都政だが、内実は停滞感の兆しも見えてきているというのだ。 ■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】約2700字 【写真】小池百合子氏のFacebookより

(https://www.facebook.com/yuriko.koike.96/)

■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年7月22日

仏司法当局「東京五輪汚職」で注目「DENTSU」の「高橋治之」氏

 2020年東京オリンピック招致を巡る汚職容疑は、現在もフランスの司法当局が捜査を行っている。容疑の根幹は「シンガポールのペーパーカンパニーを通じ、国際陸連の前会長と、その息子に巨額の賄賂を日本側が渡した」というものだ。そしてフランス当局の声明には「DENTSU」の名が頻繁に出ている。 ■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】2400字 【写真】電通本社ビル(電通公式サイトより)

■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年6月15日

【無料記事】舛添辞任は「東京五輪の呪い」─「徳川家怨念」と「競技場跡地の怪」

「東京オリンピックの呪いだ」と断言したくもなる、舛添要一氏の都知事辞任。これまでにも「呪われた東京オリンピック2020」との表現が散見されているほか、「徳川家達の呪い」という〝都市伝説〟も注目を集めている。これは後で詳述したい。
 誰もが非科学的だとは分かっていても、東京五輪の関係者が相次いで〝災難〟に巻き込まれていることに、空恐ろしくなることもあるのではないか。改めて、時系列でまとめてみよう。

■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】2000字 【写真】舛添要一氏オフィシャルサイトより

■――――――――――――――――――――

» Read more

2016年4月12日

【無料記事】読売、朝日、毎日、日経が「東京五輪スポンサー」の〝違和感〟

 2016年1月22日、読売、朝日、毎日、日経の4全国紙が、2020年東京オリンピックのオフィシャルパートナーとしての契約を、組織委員会と締結したことを発表した。  ジャーナリズムとして五輪の在り方を客観的に見ることが求められているはずの新聞社各社が、「オフィシャルパートナー」として巨額資金を支払ってスポンサードすることになるわけだ。  だが、その姿勢に関する疑問の声はメディア関係者の方が、より強いものがあるようだ。特に経営状態が苦しい毎日となると、その台所事情も絡み、社内からの批判は相当なものなのだという。

 広告代理店の関係者が解説する。

■―――――――――――――――――――― 【購読記事の文字数】約1400字 【写真】東京五輪公式サイト「スポンサー一覧」より ■――――――――――――――――――――

» Read more