【無料記事】日本版NSCトップの「コンサル会社」に批判 | イエロージャーナル

 国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCの初代局長で、内閣特別顧問を務める谷内正太郎氏(73)が、自らコンサルタント会社を設立していたことが、関係者の証言などで明らかになった。

 谷内氏は現在、代表取締役から退き、後任に妻が就いているが、安全保障分野のトップに対して「公私混同」を危惧する声が上がっている。

■―――――――――――――――――――― 【写真】内閣官房公式サイトより

(http://www.cas.go.jp/)

■――――――――――――――――――――

 問題のコンサル会社は株式会社・谷内事務所。会社登記によれば、所在地は東京都千代田区麹町2丁目で、資本金は100万円。設立目的は「外交政策や企業経営に関するコンサルタント業務」のほか、「国際情勢に関する調査分析、評価」「書籍・印刷物の企画、製作、出版、販売」「各種講演会、セミナー等の企画」……などとなっている。

 民間調査会社のレポートなどは存在せず、詳しい経営実態は不明である。

 設立は2008年4月で、谷内氏が外務事務次官を退官した約3か月後だ。民間人になることを踏まえて活動のベースを築いたとみられるが、外務省顧問や内閣官房参与の肩書を持っていた時期でも、代表取締役にとどまっていた。この点が「兼業禁止」のルールに抵触していた可能性も否定できない。

 さすがに良心の呵責があったのだろうか、NSC局長となる14年1月の直前に、妻のいほり氏に代表取締役の座を譲っている。

 ただ、会社の存在そのものがアキレス腱になりかねない――と複数の関係筋は指摘するのだ。外務省の元幹部はこう言う。

「失礼ながら奥様はダミーであり、今でも実質的に谷内さんの会社であることは明明白白です。エリート外交官として長年にわたり外交機密や国家機密に触れ、現在はそれらを掌握する立場にある谷内さんが、営利を目的とする法人に携わることが、果たして適切と言えるでしょうか。職務上知り得たことを会社の業務に生かして利益を得ているとすれば、重大な背信行為となります。場合によっては犯罪にもなり得る。資産管理会社のような位置づけであっても、誤解を受けないように会社を整理するか、第三者に譲渡するのがあるべき姿だと思うのですが」

 貧しい環境で育った「苦労人」として知られる谷内氏。その反動か、上昇志向が非常に強く、かつて複数の週刊誌に「元KCIAエージェントと親密交際が発覚」などと報じられ、キナ臭い人脈も浮き彫りになっている。

 外務省時代の元同僚は「安倍晋三首相の側近として舵取りを担う以上、『李下に冠を正さず』の言葉を忘れてはならないはずだ」とクギを刺すのだが……。

(無料記事・了)