【完全無料記事】115回きのうの1面〈参院告示翌日〉6月23日一般紙 | イエロージャーナル

 6月23日朝刊のテレビ欄で、朝の情報番組は次のような内容紹介となっていた。

▽あさイチ(NHK) ・①スゴイぞ アスパラガス最新情報 ストレスも血圧も軽減   捨てがちなアノ部分に新成分

・②アッキーの沖縄旅

▽スッキリ!!(日本テレビ) ・カレー店 給料未払い閉店・解雇 インド人ら〝助けて〟店寝泊まり自主営業 ・揚げぬカツ丼…クックパッドの〝神レシピ〟 ヘルシー&時短ワザ

・英国EU離脱? きょう国民投票どうなる日本

▽羽鳥モーニングショー(テレビ朝日) ・激ヤセの鳩山邦夫さん 急逝前に炭水化物抜きダイエットか ・九州に大雨〜道路冠水し濁流川も危険

・福島汚染土全国拡散へ!! 大丈夫?

▽白熱ライブ・ビビッド(TBS) ・九州に記録的大雨爪痕 関東も雨…通勤の足は ・隣人トラブル20年の惨劇…住民約1000人が減刑嘆願の理由は?

・毛染めアレルギー実態

▽なないろ日和!(テレビ東京) ・豚のしょうが焼き極意  ①ロース肉VS薄切り肉  ②漬け込み派VS絡め派

 ③カリッとジューシー 人気店のスゴ技

▽とくダネ!(フジテレビ) ・①乙武氏 不倫謝罪から3カ月…妻から切り出し…別居 ・②都も区も…リオ視察 なぜ必要? 高額のワケ

・③創業家VS経営陣 大戸屋でお家騒動勃発

 では新聞はどうだったのか。2016年6月23日付(木曜日)の日経を含む一般紙の見出しを見てみよう。

【1面見出し】 ▽読売新聞(約926万部) 「アベノミクス問う 参院選389人立候補 来月10日投票 社会保障・憲法 争点 「「安倍一強」継続か否か」政治部長 前木理一郎 18歳に選挙権」 ▽朝日新聞(約710万部) 「問われる安倍政治 アベノミクス・安保法 改憲4党 3分の2焦点 参院選公示 「憲法 避けずに議論を」政治部長 立松朗」 ▽毎日新聞(約329万部) 「改憲巡り攻防 「3分の2」議席焦点 経済政策 是非問う 参院選公示 389人立候補「これまでとは違う」政治部長 末次省三」 ▽日経新聞(約275万部) 「英離脱リスク 市場備え きょうEU巡り国民投票 FX取引制限の動き 邦銀ドル・ポンド確保 ポンド買い 協調介入も」 ▽産経新聞(約161万部) 「自公VS.民共の構図 参院選公示 389人立候補 来月10日投開票 「野党共闘」に温度差 「18歳」初の国政選 「迫る危機 各党の覚悟は」政治部長 有元隆志」 ▽東京新聞(約51万部)

「第一声 争点くっきり 参院選7・10投開票 自公アベノミクス加速を 共闘野党 改憲勢力2/3許さない 389人立候補」

 参院選が告示された翌日の紙面でも、日経ブロックが発動した。さすがに全紙共通だと思っていたが、日経はイギリスEU離脱問題の方が重要だったらしい。基本は経済紙だから当然ではあるだろうが、有権者が参院選に関心を示していないことを踏まえているのではないかと言えばうがち過ぎか。

【コラム】 ▽読売・編集手帳

(〝長寿物質〟の研究が進む/参院選)

「伝説によれば、月の世界には霊水がある。名前を「変若水(おちみず)」といい、飲んだ人は若返るという。その霊水を調合した品かどうか、『竹取物語』のかぐや姫も月へ帰るとき、不老不死の薬を帝に献上している」
「以前、本紙で読んだ川柳がある。<寿命より貯金が先に逝っちまい>。長い気が生活苦を連想させる世の中ほど悲しいものはない。さまざまな声のなかに、あすの希望を探す18日間である」

▽朝日・天声人語
(沖縄慰霊の日)

「沖縄市出身の国仲瞬さん(23)は小学生のころ、「平和学習」があまり好きではなかった。沖縄戦の話は暗くて重いからだ。戦争体験者から、例えばこんな話を聞いた。住民が隠れた洞窟の入り口に爆弾が落ちた。ばらばらになった人の体を見た──」
「きょうは「慰霊の日」。71年がたち、戦争を体験した人は減っている。語り継ぐ機会も。それが、基地が存在し続けることに疑問を持たなくなる危険をはらむのではないか。沖縄で、そしてとりわけ本土で▼「がちゆん」。まじめななおしゃべりが求められているのは、決して沖縄の中だけではない」

▽毎日・余録 (九州各地で豪雨)

(http://mainichi.jp/articles/20160623/ddm/001/070/162000c)

「「集中豪雨」という言葉が広まったのは1957年7月25〜28日の諫早豪雨がきっかけといわれる。一昼夜の雨量が1100ミリを超えた場所があった一方、わずか20キロ離れた場所ではその1割にも満たなかったことがこの用語を普及させた▲この時は、川の氾濫や土砂災害などにより長崎県と熊本県で700人以上の死者・行方不明者が出ている。梅雨の後半、前線に向かって南西からの湿った空気が流れ込んで起こる豪雨が「荒れ梅雨」「暴れ梅雨」の正体という。この列島、とくに西日本の宿命である▲だが今季は梅雨入りから20日たっていない九州地方を見舞った大雨だった。熊本県での記録的豪雨に続いて長崎県や福岡県も豪雨に見舞われ、各地に避難指示や勧告が出ている。20日夜半の熊本県甲佐町で記録した1時間の雨量150ミリは観測史上4位の記録だった▲熊本県内では土砂災害などで6人が犠牲になり、宮崎県や福岡県でも死者・行方不明者が出た。この豪雨のさなかにも熊本地震の大きな余震の速報が報じられて、胸が騒いだ。当の被災地の不安に思いをめぐらせば、暴れ梅雨の非情をうらむしかない無力がくやしい▲「時によりすぐれば民のなげきなり 八大竜王雨やめたまへ」は鎌倉三代将軍、源実朝の止雨祈願の歌だ。八大竜王は水をつかさどる竜王で、この歌に竜王をも叱りつけるまっすぐな勢いを感じた明治の俳人、正岡子規は「真心より詠み出でた」「善き歌」と評した▲梅雨前線の活発な状態はなおも続きそうで、緩んだ地盤が心配だ。せめて被災地の窮状にまっすぐに届く「真心」はともにしたい災害列島の住民である」

▽日経・春秋 (イギリスEU離脱問題/参院選)

(http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03954700T20C16A6MM8000/)

「 ロンドンについて忘れられぬことを書いてください、と頼まれたら……。食通だった作家の開高健さんは晩年の短編をこう始め、白身魚フライにポテトを添えた「フィッシュンチップス」を挙げた。お堅い新聞で包んでもらっては冷めるのが早い、とのジョーク付きだ。 ▼次いで、夕方の酒場の床にまかれたオガ屑である。場所は忘れたが「雨のあとの森のようにいきいきと香りをたてていた」。ソーダの爽やかな音が響き、一日が終わったというささやかだけれど切実な喜びが人の声に感じられたという。欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票後、街に穏やかな日常は戻ってくるのだろうか。 ▼英国を二分した10週間だった。金融機関や企業が流出する、と残留派が訴えれば、離脱派は「EUが雇用を破壊した。権限を取り戻そう」と叫んだ。移民へのまなざしも両派で異なる。主張の違いは根が深く、結果を尊重してノーサイドで乾杯、とは落着しない雲行きだ。社会の分断を繕う作業は、そう簡単ではあるまい。

▼一方、我が方は参院選である。多くの有権者が不安視する将来の社会保障で、各党の議論は活発といえない。例えば2025年度に70兆円を超す医療・介護費をどうまかなうか。負担増は世代間の深刻な分断を招くかもしれない。潮は沖へ引いているように見えても、満ちる時は瞬く間だ。熟議にも長い時はかけられない」

▽産経・産経抄 (東京都議団リオ五輪視察問題)

(http://www.sankei.com/column/news/160623/clm1606230003-n1.html)

「選挙のたびに新聞は、候補者の経歴や座右の銘などを紹介している。「尊敬する人」の欄には、明治維新の志士の名前をよく見かける。司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』のなかに、こんな記述があった。  ▼「要するに、史上名を残した志士というのは、足で取材し、足で伝播した旅行家ばかりということになる」。確かに竜馬も吉田松陰もひたすら諸国を歩いて人に会い、時勢を論じたものだ。それにあやかろうというのだろうか。  ▼国会議員や地方議員にとって、視察旅行も大事な仕事の一つらしい。リオデジャネイロ五輪・パラリンピックにも、次期開催地の東京都議会の視察団が派遣される。ただ、問題は総勢28人分の経費の金額である。6200万円もの予算が確保されていた。ホテル代などの高騰によって1億円前後になる可能性もある。税金の無駄遣い以外の何物でもない。規模を縮小するのは当然である。  ▼21日に東京都知事を辞職した舛添要一氏もあきれているはずだ。視察団には、高額な海外出張費をはじめとする、舛添氏の金銭問題を追及していた議員も含まれている。都議団による豪華な海外視察には、これまでも疑問の声が上がっていた。平成20年には、視察団が帰国後に作成した海外調査報告書に、専門家の論文の丸写しが見つかっている。 ▼観光という語は、中国の周の時代の古典『易経』にある「国の光を観る」から来ている。もともと他国の政治や文化を視察して、自分の国で役立てるという意味だった。日本では明治に入って、英語の「ツーリズム」の訳語に当てられてから、物見遊山の意味合いが強まった。

 ▼遊覧旅行と見分けがつかない議員の視察の実態を知れば知るほど、観光の語源を忘れてしまいそうになる」

▽東京・筆洗 (鳩山邦夫氏を悼む)

(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016062302000148.html)

「ある夏の日の軽井沢。小学三年生の兄がきれいなチョウを採ったと飛び込んできた。真っ赤な翅に美しい目玉模様。小学一年生の弟はうらやましくて仕方がなかった▼クジャクチョウ。別荘を飛び出し、<兄が捕まえた場所を何度も何度も歩き回った。しかし、ついには出現しなかった>。兄のいる方ならば、その悔しさが分かるか▼クジャクチョウを手にした兄とは元首相の鳩山由紀夫さん。弟とは二十一日亡くなった自民党衆院議員の邦夫さんである。六十七歳▼二十八歳の若さで衆院初当選。総務相や法相などを歴任する一方でその政治人生は収集していたチョウのように所属政党を飛び回るようでもあった。自民党、無所属、改革の会、自由改革連合、新進党、旧民主党、民主党、無所属、自民党、無所属、自民党…▼政界は感情の世界。これだけ、<ナノハニアイタラ>と飛び回れば、不信感と恨みで花畑を追放されかねないものだが、このチョウは不思議と飛び続けた。問題発言もあったが、頭の回転の速さとどこか憎めぬ風貌と人柄のおかげだったかもしれない▼兄は一九九三年、自民党を飛び出したとき、弟にはその計画を一切伝えていない。兄はその後、首相という巨大なチョウを捕まえたが、弟にはそれがどう見えていたか。<兄が捕まえた場所を何度も何度も歩き回った>。夏の日の思い出が切なくもある」

 コラムで参院選を話題にしたのは読売と日経の2紙にとどまった。とはいえ、コラムは「きょう告示」の22日が競作になったことも大きい。  読売は最後の1行で参院選になるので少し驚いた。日経もEUと2本立てになっているが、それだけ「書くことがない」参院選なのか。  相変わらず東京は追悼記事で「世間並み」になる。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】『池上彰の『マンガでわかる』投票ガイドブック』より (http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2012/07/tohyo_guidebook_0511.pdf)

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