2017年2月7日
【無料記事】東大卒エリート「アイビーリーグ留学」失敗の〝法則〟
近年、アメリカの大学進学を専門とする塾が続々と誕生している。「東大よりハーバード」という観点の雑誌記事も目立つようになってきた。
だが、ちょっと待って頂きたい。
「真の英語教育を実施する」「国際化社会に対応する人材を育成する」と日本政府が連呼し始めたのは、何も昨今のことではない。それこそ敗戦1か月後、つまり1945年9月15日に『日米会話手帳』(科学教材社)が出版され、360万部の大ベストセラーとなった。
進駐軍と対峙するため、語学力を身に付けようとしたのだ。まさに日本の国際化元年だろう。そして、それから戦後70年にわたり、延々と「真の英語教育」「国際化教育」の必要性が叫ばれてきた。
では、我々日本人の英語力は、どんな具合だろうか。確かに留学経験なしでもネイティブレベルという偉人──もしくは奇人──も存在する。だが、我ら凡人にとっては、英文メールが届けば、返信の作成は少なくとも数時間、場合によっては数日が必要だろう。いや、そもそも英語が全く必要のない仕事に就いている人が大半に違いない。
40代以上なら、中学から大学まで英検取得を奨励された記憶をお持ちのはずだ。しかし日本人の英語力は全く向上せず、儲かったのは英検協会と対策教材を作成する出版社だけだ。近年はTOEFLやTOEICが取って代わりつつあるが、本質は何も変わっていない。
しかしながら、ここで本稿が問題にしたいのは、日本における英語教育の課題ではない。「グローバル社会では英語が公用語だ」「アイビーリーグでMBAを取得」と躍起になる日本人エリートが、なぜ海外で通用しないかという疑問だ。そこから見えてくるのは、語学力などが些細に思えるほど、決定的な文化の差異だ。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】ベネッセが運営するアイビーリーグなど海外トップ大進学塾『Route H』公式サイトより
(http://rt-h.jp/)
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アイビーリーグのさる大学を卒業したノンフィクションライター氏が「留学した和製エリート」の問題点を指摘する。
「私が大学生だったのは、かれこれ20年前になります。私はアメリカの高校から大学に進学したのですが、当時は20代前半の日本人は少なかったように思います。多くは20代後半から30代で、企業や官庁からの留学生が大半でした」
現役サラリーマン・官僚の英語力は、当時のTOEFLで、最低でも650点以上。アメリカの大学教育が要求するレベルは満たしていた。
社内での留学選抜試験にも合格し、組織のエリート候補生として意気揚々と留学してくる。だが、全く勉強ができない。歯が立たない。その原因をライター氏は「書くことと話すことの基礎能力が欠如しているからです」と指摘する。にわかには信じがたいが、どういうことなのだろうか。
「私が問題にしているのは、英語を流暢に話す能力ではありません。もっと根源的なもので、自分の意志を他人に伝える力です。例えば1冊の本を執筆したり、不特定多数の前で30分、スピーチができたりする能力です」
つまり「自分の言葉を持っているかどうか」が問題なのだという。その有無を調べるために、アイビーリーグ校の多くはAO入試を実施する。要求されるエッセイの執筆能力や、面接での一問一答は今やネットでも情報を得られるが、当然ながら有名大学になるほど水準は高い。日本の「一芸入試」と化したAO入試とは雲泥の差だ。
「アメリカでは大学教授でさえ、年に1冊の本を執筆しなければ、追い出されるという過酷な職場です。大学生にも厳しい要求が行われますが、かといって特別な能力を持つ人間を集めているわけではないんです。読むことと、話すこと、そして書くことの3分野について、基礎能力の高い受験生を選抜しているに過ぎません。名門大学と、そうではない大学の差も、この基礎能力の差によって生じます」
対して、わが国の大学では、どのようにして「偏差値」の序列が決まるだろうか。少なくとも「話すこと=面接」「書くこと=小論文」を入試として課す大学は稀だろう。今や私立大学でもマークシート式のセンター試験で合否が決まってしまう。
「日本での受験勉強は、ドリルワークに代表される反復練習が基本です。更に根本的な美徳として『沈黙は金』が挙げられる社会に私たちは生きています。黙々と辛抱強く受験勉強に打ち込んだ人間が、大学入試で上位の成績を得る。日本における天才、秀才のイメージは寡黙、控え目、真面目といったものでしょう。これはつまり能吏タイプこそが、日本ではエリートと称される人生を歩むのだということです」
ヘンリー・キッシンジャーの名を知る人は多いだろう。国際政治学者にして、ニクソン・フォード政権で、大統領補佐官、国務長官を歴任した。だがキッシンジャーがドイツ人だったということはご存じだろうか。ユダヤ人だったため、ヒトラー政権の誕生でアメリカに移住、帰化したのだ。
アメリカでのキッシンジャーは苦学生だった。高校は夜間で、ニューヨーク市立大学に進学。第二次世界大戦勃発により陸軍に入隊し、終戦を迎えてハーバード大学に入学し、更に大学院へと進んだ。
「キッシンジャーの英語はドイツなまりが酷く、耳が痛くなるほどです。しかしアメリカ人の誰も彼を馬鹿にしません。アメリカでは綺麗な英語を話すことが、教養・知性の持ち主であることとイコールではないからです。重視されるのは、自分の主張を、どのような表現で、どう相手に伝えるかという『話す能力』だけです。ところが社内・官費留学でアイビーリーグに来る東大卒のエリートは、自分の言葉を持っていません。だから話すことも書くこともできず、大学では完全なお客様になってしまいます」
人生初の挫折に心を病む社会人留学生もいるというが、多くは「大学における彼我の差」を痛感すると、ニューヨークの紀伊國屋書店を頼りにするらしい。
「店内は当然、日本の出版物がずらりと並びますが、東大卒のエリート留学生は、自分に必要なビジネス書や研究書を買い漁ります。そして徹夜で英語に翻訳し、自分の見解のようにしてレポートにまとめるんですね。そうした受験勉強的な要領のよさとなると、まさに彼らは天才です。誤解のないように言い添えますが、私は日本におけるドリルワークのメリットも理解しているつもりです。ただ、アメリカの名門大学における教育を咀嚼できなかったはずのエリート留学生が、帰国して組織内で出世したり、ビジネス書の著者となって、やれ、西のハーバードと呼ばれるスタンフォード卒だとかハーバード卒を肩書きで謳うのは、パロディにしか映りません」
ライター氏の実体験によると、東大卒はプレッシャーと挫折に弱い傾向があり、留学先で引きこもりになる社会人留学生も少なくなかった。一方、アイビーリーグのキャンパスで「水を得た魚」として快活に学ぶのは、上智大卒が目立っていたという。
「自己紹介では『上智』ではなく『ソフィア』と言うわけですが、アメリカ人の学生は『キリスト教系の大学か』と理解が早いわけです。これは馬鹿にできません。また理解力と柔軟性のバランスが取れた人も多い印象を持ちました。女性も男性も打たれ強く、異国でもへこたれないバイタリティがありました。日本における上智のイメージとは違うところも面白かったです」
では早慶はどうか。こちらはアイビーリーグで東大にかち合うと、〝権力闘争〟で疲弊してしまうケースがあるという。むしろ早慶は日本人留学生の少ない、地方の州立大学で学んだ方が「アメリカ帰り」に相応しい実力を身に付ける、とライター氏は指摘する。
「東大を卒業して、官庁や名門企業に就職、更にアイビーリーグの大学・大学院を卒業しましたという経歴は、日本では圧倒的な力を発揮するでしょう。しかし所詮は日本国内の評価に過ぎません。企業や官庁など送り出す側は、将来の幹部候補にアイビーリーグでの人脈作りを期待しているそうですが、率直に言って夢物語です。今後、アイビーリーグ進学を専門とする予備校や塾が日本国内で増えたとしても、果して大学側が要求する『話し、書く力』を習得できるかは未知数です」
それもそのはず。アイビーリーグの精神を体現しているOBとして、ドナルド・トランプ大統領の名を挙げることはおかしくも何ともないという。ちなみにトランプ大統領はアイビーリーグの1つであるペンシルベニア大学を卒業している。
「沈黙は金」「出る杭は打たれる」「和を以て貴しとなす」などなど、以心伝心と協調性を重んじる諺に事欠かない日本社会に対して、アメリカは「歯に衣着せるな」「ペンは剣より強し」だ。大学では徹底したディベートで学生を鍛え上げるが、それはまさに学生が頭脳でケンカに明け暮れることを意味する。
文科省は大学入試改革でプレゼンテーション能力も試験対象にするとの検討が行われているというが、ライター氏は悲観的だ。
「アメリカの文化と日本の文化が異なるのですから、安易に輸入しても『仏作って魂入れず』に終わることは目に見えています。私は日本社会では、幼少期から変わらず、今でもKYと批判されるのがもっぱらです。幼少期からずっと、日本ではクラスメイトには『頭がおかしい』と本気で非難されていました。それがアメリカの高校に進むと、『ファニーガイ』と180度評価が変わるわけです。どっちがいいという問題ではなく、文化が違うんです」
日本の優等生は、国内で優等生として完結できる。別にハーバード、イエール、プリンストン……の学歴が必要というわけではないだろう。海外支社を歴任するならまだしも、結局は国内で出世を重ね、仕事が終われば六本木のキャバクラで「僕はハーバードを卒業したんです」と自慢するネタになるだけだ。
「企業や官庁の『アイビーリーグ幻想』に厭味を言う役割が期待されるマスコミでさえも、東大卒の社員をコロンビア大学のジャーナリズム学科に留学させるのですから、開いた口がふさがりません。ですが、米国で本当に評価されている、ジャーナリストを数多く輩出しているのは、コロンビアよりもむしろ、ミズーリ大学のジャーナリズム学科です。ミズーリ大では隔日紙として「ミズーリアン」を刊行し、学生時代から記者としての徹底した訓練を積み、その後、全米の新聞社に散っていき、そのなかで評価を得たものはワシントンポストやニューヨークタイムズに引き抜かれていきます。人世の最初から最後まで朝日人だ、などという人間はむしろ無能とみなされますよ。日本では転がる石は苔むさず、ですが、アメリカとアングロサクソンの社会では、転がれない石など無能の極み、と見做されますね」
アメリカではなくイギリスだが、夏目漱石が官費留学してノイローゼになったのは有名名な話だ。まさに自分の言葉を持ち、それが故に精神的に追い詰められたといえるが、今の留学生は漱石の爪の垢さえ全く必要としないのかもしれない。
(無料記事・了)
2017年2月6日
【無料記事】トランプ大統領が「日本人クラブ・風俗」を壊滅!?
トランプ政権が発足したアメリカで戦々恐々としているのは、ヒスパニック系の不法移民ばかりではない。一時帰国したニューヨークのさる駐在員が言う。
「ピアノバーの女の子たちから相談を受けるんです。『あたしたち、どうなるの?』って。アフターすると、そんな話ばっかりなんですよ」
ピアノバーとは聞き馴れないかもしれないが、要は日本のクラブのような場所である。
今や全米に散る在留邦人の数は40万人に達しようとしている。ニューヨークだけでも5万人を優に超える。日本大使館が把握している表の数であり、隠れ人口は把握しきれないと言われてもいるが……。
つまり、ちょっとした日本の地方都市ははるかに凌ぐ人口だ。これだけの規模ならば、日本式水商売が輸出されても全く不思議はないわけだ。
銀座や赤坂のクラブ、もしくは六本木の超高級キャバクラが、ニューヨークではピアノバーと呼ばれる。州法で日本式のクラブ営業が認められないため、表向きはピアノバーとして営業許可を取得するためだ。
マンハッタンの市街地には夜ともなれば、邦人駐在員が使うピアノバーが──さすがに銀座並木通りレベルとはいかないけれども──各ビルに点在している。
クラブあれば、女あり。ピアノバーで働く女性たちは、語学学校の留学生が多いのは当然なのだが……。
「現地の大学を卒業しても就労ビザが取れず、半ば不法滞在同然で居座っている女の子は多いですよ」(先の駐在員)
■―――――――――――――――――――― 【写真】ニューヨークのピアノバーとしては老舗格とされる「clubうさぎ」公式サイトより。ちなみに本店は銀座。
(http://clubusagi.com/index.html)
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この駐在員は、東京都内に家族をおいての単身赴任であり、接待で使うピアノバーの女性とは週末婚どころか、半同棲状態だという。
「猫も杓子もニューヨーク留学ですよ。こっちのカレッジを卒業しても、よほど現地で信頼のある企業に入社しない限り、就労ビザは出ません。そのまま留学ビザが切れて、どうしようかと迷っているうちに日本のパスポートさえ失効。何となく居座っているという女の子もピアノバーで働いているんです。僕が付き合っている現地妻っていうか、彼女もそうですね」
駐在員氏によると、そんな「語学難民/流民」とでも形容すべき日本人女性が、ニューヨークに溢れているのだという。
「男子留学生の悲惨な境遇に比べれば、まだマシですけどね。とにかく日本人女性はもてますから。日本では全然駄目な女の子でも、黒髪が艶々としていれば、白人とヒスパニックが夢中になります」
特にアメリカ人男性が夢中になるのはオリエンタル顔。日本人男性が好きな藤原紀香タイプは全く人気がなく、目が細く切れ長のルーシー・リュー系が強い。
「ビザやパスポートが切れていても、パトロンよろしくボーイフレンドの家を転々としながら、同棲難民として暮らしていくことができます。そのうちに結婚して、子供も産んでしまえば、市民権も得られるでしょう。だから、若いうちは僕ら駐在員の現地妻、もしくは彼女になってニューヨークでの地歩を固め、最終的にはアメリカ人男性と同棲、結婚、というのがある種のサクセスストーリーだったんです。ところが、トランプ政権誕生となると、彼女たちも紛う方なき不法移民ですよ。自分たちに、いつ手が伸びてくるのか、と戦々恐々としているわけです」(同・駐在員)
ニューヨークだけでなく、アメリカ全土には、こうした留学難民の女性たちの稼ぎの主戦場であるデリヘルやファッションヘルスがあふれている。彼女たちは日本人相手の風俗とピアノバーでのホステスとを兼業しながら、アメリカ暮らしをしのいでいるという。
「ピアノバーで働く女の子で、僕らの同僚と結婚したのもいますよ。日本に帰国してからも夫婦仲は良好ですけれど、そんな女の子は一握りですよね、本当に……。多いケースは白人男性との結婚と離婚を繰り返して、アメリカ国内で根無し草のような生活へ落ちぶれていく女性ですね。それが可能なのも、ヒスパニック系の不法移民が大勢いて、彼らの影に紛れ込めるからですけれど、もしトランプ大統領が本気で不法移民の一掃に乗り出せば、もちろん彼女たちも槍玉に上がるでしょう」
駐在員氏は「自分勝手と怒られるでしょうけれど、彼女たちがアメリカからいなくなれば、本当に困ります」と率直に打ち明ける。
「東京に女房と子供を置いてきて、寂しいということもありますけれど、やっぱりセックスが魅力的なんですよ。白人とのセックスを経験すると、不思議に日本人男性の股間に〝回帰〟する女の子が多いんです。向こうは大きくても柔らかい。こっちは小さいけど堅いので喜んでくれるんです」
更に女性の〝リアクション〟の激しさに、夢中になってしまう駐在員も多いという。
「白人男性は〝マグロ〟を嫌がりますしね。僕の妻なんてマグロもマグロ、『冷凍マグロ』ですから、本当に冷たい人形みたいで、何の喜びもありません。それに対して、白人と交際するような女性は、セックスに関しても熱心ですからね。10代の童貞を卒業したばかりのように、朝から晩までやりまくったりするんですよ。そうなると仕事への意欲も増すし、不思議に白人相手の商売でも、ガッツも涌き出てくるんです」
逆に全く相手にされないのは「黒人が好きな日本人女性」だそうだ。
「黒人と交際した女の子は、絶対に日本人男性には回帰しませんね。ピアノバーでも黒人好きな女の子って何となく情報が伝わってくるんですけれど、そうなると駐在員は口説きません。向こうも黒人の恋人を食わせるために働いたりしていますから、すごく割り切っていますしね」
少々、脱線が過ぎてしまったかもしれない。いずれにしても、ピアノバーで働く日本人女性は、よくも悪くも「ニューヨークの企業戦士」のエネルギー源となってきたようだ。そんな彼女たちがトランプ政権によって国外退去させられると、どうなってしまうのだろうか。
「言葉は悪いですけれど、語学難民は、僕らにとってなくてはならない慰安婦なんですよ。彼女たちがトランプの命令で一掃されたら、それこそ全米の日本人社会で暴動が起きるんじゃないでしょうか(笑)」
そのトランプ大統領だが、就任演説における「We will follow two simple rules: Buy American and Hire American.」の部分は、日本でも話題になった。
拙訳すれば「我々は、アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う、という2つのシンプルなルールに従う」となる。トランプ大統領が自らの発言を忠実に守るならば「ニューヨークの日本式ピアノバーで働く女性は全員、アメリカ人女性にすること」との大統領令を出す必要が生じる──。
くだらない冗談はここまでにしておくが、現地の日本人なら男にとっても女にとっても、日米における立派な「経済摩擦」なのは言うまでもない。
(無料記事・了)
2017年1月24日
【無料記事】脱北者が「亡命政権」発足で「顧問」は金正男氏!?
アメリカや韓国在住の、かつての北朝鮮政権幹部ら「脱北エリート層」が中心となり、ワシントンに本部を置く北朝鮮亡命政権が発足するという。
しかも亡命政権の最高顧問に金正男氏を擁立するという驚くべき情報だ。
金正日氏といえば、故金正日・朝鮮労働党総書記の長男だ。しかし、それ以上に我々日本人にとっては2001年に「金正男と見られる男性」が成田空港で入管に拘束された事件が強烈な印象を残した。
報道の通り、金正恩体制は激動が続いており、高官の亡命も頻発している。金正恩・党委員長の求心力が著しく低下していることを見越し、亡命政権発足で「北朝鮮の民主的政権」が構築されつつあることを、大々的に宣伝するのが狙いのようだ。
■―――――――――――――――――――― 【写真】『父・金正日と私 金正男独占告白』(五味洋治著・文藝春秋)Amazon販売ページより
(https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4163751904/ex-news-22/)
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ニュースソースは北京の外交筋。関係者によると、亡命政権樹立の計画は、ワシントン在住の脱北者グループのリーダーで、金正恩氏の秘密資金を管理する労働党『三九号室』最高幹部の1人だった人物「X氏」が主導的な役割を果たしているという。
亡命政府の名称は、『北朝鮮自由民主亡命政府』とする予定だといい、X氏はすでにアメリカや韓国に住む脱北者グループのリーダー10人以上と意見交換。できる限り早く亡命政権を樹立することで合意した──とされる。
政権交代前のこととはいえ、オバマ政権の北朝鮮問題担当幹部や、民主化や人権問題に関心を持つ上下両院議員と意見交換するなど、準備を「着々と進めてきた」(関係者)という。
X氏は中でも、中国政府の庇護下にあるとされる金正男氏とも、潜伏先の北京や東南アジアの各地で接触を継続。「亡命政府最高顧問」という名誉職的な肩書を用意することで、亡命政権の立ち上げに関与してくれるよう、要請しているとされる。
だが北京の外交筋は、金正男氏の亡命政権参画に対しては、中国は難色を示しているとする。ただしX氏の狙いは、亡命政権のリーダーが金正男氏と親密な関係を築くことにあり、必ずしも参画が絶対条件ではないという。亡命政権の認知度を高めることが最優先の課題であり、そのために金正男氏と親密な関係を築く必要があるためだ。
関係者は、こう指摘する。
「これまでにも脱北者グループの中で、亡命政権を樹立する動きはありました。ですが指導者の不在や資金不足の問題などで、幾度となく立消えになってきたんです。しかし金正恩指導部が発足すると、党や軍の幹部といった、エリート層の脱北が目立っています。そのため脱北者の間でも、民主化政権樹立のため、亡命政権構築の機が熟しつつある、との認識が広まっていると考えるようになりました」
千載一遇のチャンスを阻む危険性があるのは、まずは韓国の政変だ。朴槿恵政権後の新政権が「極左新北」となると、冷水を浴びせる効果が高い。
更に不安要素は、アメリカのトランプ大統領だ。東アジア政策は未だに不明点が多く、どのような内容になるのか判然としない。仮に単なる「無関心」だとしても、「北朝鮮亡命政権樹立」にとっては相当な痛手だ。
(無料記事・了)
2017年1月10日
【無料記事】トランプ新大統領就任で「米朝戦争」勃発の観測
「トランプ新大統領の就任で、いよいよ米軍が北朝鮮に大して動くかもしれない」
駐米関係者の間で、こんな噂が流れている。出所は防衛省との憶測も飛ぶ。
アメリカが「悪の枢軸」と決め付ける北朝鮮に対し、本当に軍事作戦を行うというシナリオを、突拍子もない流言飛語だと断言するわけにはいかない。これまで国連の安保理決議を経ないどころか、議論さえ行われていない段階で米軍が軍事介入に踏み切ったケースは決して少なくないのだ。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】2016年12月、北朝鮮の首都平壌で開かれた中央追悼大会に出席した金正恩・朝鮮労働党委員長(撮影 共同通信) ■――――――――――――――――――――
例えば1991年の湾岸戦争や、2003年から続くイラク駐留と平行して、アメリカは中南米諸国に対する政治・軍事介入を積極的に行っている。我々と直接的な利害関係の少ない中南米における米軍の行動は、なかなか国内メディアでは報じられない。
古くは89年、パナマのノリエガ将軍は夜中に米軍の急襲を受け、米国内へ強制的に移送させられた。フロリダ州の刑務所に収監されたこともある。
こうした軍事作戦を米軍は「民主主義回復作戦」などと名付け、れっきとした独立国の元首さえ〝葬って〟きた。作戦が成功すれば、アメリカ政府に友好的な新政府が樹立されるのも定跡だ。
介入される国家にとってはたまったものではない。軍事作戦を行うにあたり、「民主主義など普遍的な価値観を共有しているか否か」といった規準が提示されるとはいえ、要するにアメリカの都合によって決められるのだ。暴虐も甚だしいが、世界一の軍事超大国が相手なのだからどうしようもない。
米軍にとっては覇権の空白域だったアフガニスタンなどユーラシア大陸の内奥さえ、02年の同時多発テロ以降における「テロとの対決」で、遂にアメリカ政府に対して歩み寄らせることに成功している。
だが、そのアメリカでさえも扱いを持て余しているのが、〝偉大なる首領様〟が率いる北朝鮮だ。改めて正式名称を確認しておけば「北朝鮮民主主義人民共和国」となる。笑止千万だが建前は一応「民主主義」国家なのだが、実態が正反対なのはもはや説明の必要もないだろう。
覚せい剤の輸出や、偽米ドルの製造拠点を潰す、といった「大義名分」には事欠かないが、アメリカが本気になるには「利権」が必要だ。さるアメリカ人アナリストは「トランプ新政権が米軍を動かすだけのメリットは充分にあります」と指摘する。
「北朝鮮は世界有数の資源国なのです。とりわけ中国国境沿いの山脈には貴重な鉱石が豊富に埋まっていると見られています。しかも北朝鮮の技術力では掘削が難しく、大半が手付かずなのです。そこに先進テクノロジーを持ち込めば、まさに宝の山。アメリカだけでなく、日本や韓国、中国も虎視眈眈と狙っているのです」
日本の商社なども日朝の国交正常化を見込み、北朝鮮国内の資源開発に高い関心を抱いてきた。しかしながら、今は日朝の外交ルートは冷え切っている。常識的に考えれば、北朝鮮の開発利権で最も有利なポジションに位置しているのは、中国と韓国となる。
ところが、ここで大逆転を狙っているのがアメリカというわけだ。
「仮に金正恩政権が自壊したシナリオを検討してみましょう。次の政権が中国寄りとなるか、韓国寄りとなるかは、世界史レベルの最重要事項です。前者の場合、米国の覇権は韓国にとどまり、第二次大戦後の環太平洋におけるアメリカの安全保障戦略は、半世紀を経ても日本と韓国という〝友好国〟しか持てなかったという、『進度ゼロ』という結論に至ります。対して後者の場合、北朝鮮の親米政権を通じてアメリカは中国の国境沿いまで政治・軍事両面のプレゼンスを発揮できるようになるのです」(同・アメリカ人アナリスト)
アメリカが北朝鮮で軍事作戦を行い、金〝王朝〟を潰し、親米政権を樹立させる──基本はイラク戦争と同じシナリオになるが、成功した時のメリットは計り知れない。北朝鮮の資源確保は言うに能わず、朝鮮戦争の借りを返すことができるのだ。おまけに北朝鮮が国家として存続すれば、自壊時の難民発生や、中国進出などの混乱を避けることもできる。
「一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も見込める外交政策なのです。21世紀が中盤に差し掛かるにつれ、アメリカにとって北朝鮮が最重要の安全戦略ポイントとなる可能性は増す一方であり、絶対に譲れない橋頭堡なのです」(同)
なるほど、アメリカが単なる正義感から北朝鮮を「悪の枢軸」呼ばわりするわけはない。裏には経済面での思惑──彼らからすれば〝国益〟ということになる──も隠されていたのだ。極東の独裁国家に対する執拗な関与も納得できるというものだ。
こうした素地の上に、「アメリカ至上主義」を掲げるトランプ新大統領が「棍棒外交」を展開することになる。確かに、あらゆる強硬路線を視野に入れるべきだろう。さる外交筋が次のように解説する。
「防衛省が情報元という噂が事実なら、アメリカ側のソースは国防省ということになるでしょう。背景にはアメリカ国務省と国防省の温度差、あるいは政策アプローチのスタンスが異なることが挙げられます」
アメリカの外交は常に、国務省VS国防省の〝対立〟によって形成される。北朝鮮を巡っても以前から両者の〝相異〟は指摘されてきたという。だが時期や状況に応じて、両者が和解したとか、現場では深い溝が消えていないとか、様々な観測が飛び交う。
「これまでは国務省が全面に出て、北朝鮮問題を仕切ってきました。しかしながら、裏では国防省が北朝鮮の現体制を転覆、崩壊させるシナリオを描いているのです。注意して頂きたいのは、たとえ北朝鮮が親米政権だったとしても、それは変わらないのです。CIAを筆頭とする情報機関は、日本という疑う余地のないほどの親米政権でさえ、動向を操作したいと仕掛けてきます。今、この瞬間にも自民党内部の情報を細かく集め、分析を積み重ねているのです」
要するに外交には常に裏と表があるのだ。国務省が表を担当し、国防省が裏を担う。クーデターや親米政権の樹立という強硬策は国防省が単独でシナリオを描く。
その上で、具体的な情報も流れている。米軍の新たな動きが、金正恩政権への強襲情報に真実味を与えているというのだ。日本の外交関係者が明かす。
「米軍もCIAも、ずっと以前から『金王朝』を下から転覆させようと目論んできました。そして現在、アメリカは北朝鮮がミサイル搭載は可能なレベルにまで、核弾頭をダウンサイジングしたと見ています。北朝鮮がミサイル実験を強行すればするほど、アメリカは軍事介入に都合のいい状況となるわけです」
これまで北朝鮮は多国間協議を「打ち出の小槌」と見なしたかのように、援助を引き出す道具として使ってきた。だがアメリカは、こうした北朝鮮の戦略に対し、明らかに業を煮やしているのだという。オバマの対北朝鮮戦略が手詰りになったことを示すだけではなく、北朝鮮はやり過ぎてしまったのだ。
「北朝鮮の見通しが甘いのは、多国間協議に参加する振りをしている限り、引き延ばし外交は永遠に続くと考えているところにあります。しかしアメリカサイドに立てば、多国間協議と真摯に向き合い、多くの時間を割いていると国際社会に認知させれば、決裂後の独自行動に対し、世界が許容してくれる可能性が高まります。政権を転覆させるが、金正恩の命は保証し、中国に亡命させる、というシナリオも現実味を増すわけです」
北朝鮮と中国の関係は、かつてほど良好ではない。本当に金正恩が中国に亡命するなどということは起こりうるのだろうか。
「パキスタンなど、北朝鮮が軍事技術や武器を輸出している国も、亡命先になりえるかもしれません。反米的な国であればあるほど、金正恩にとって自分を守ってくれるという期待は高まります。とはいえ、〝首領様〟がパキスタンという〝貧乏国〟で余生を送ることを了承するかといえば、それは疑問です。現実的に考えれば、やはり最も可能性が高いのは中国でしょう。国を追われた金ファミリーを、昔の友誼から引き受けたということになれば、アジアの大国としての面子にはメリットです」
とはいえ、国際社会への建前もある。首都北京で「賓客」としての生活を送る──そんな予測は不可能なのだという。
「中国南部の南寧からさらに山沿いの辺区と呼ばれる政治や経済の中心地からは離れたところが候補になるのではないでしょうか。この辺りは、東南アジア諸国とも国境が近く、決して金家が余生を過ごすにも悪くない場所です。現実的には、それなりの待遇で持てなすにせよ、国際社会に対する弁解として、〝幽閉〟というイメージも生み出すことができます」
果たして、「偉大なる首領さま」が中国の辺境に送られる日が現実に来るのだろうか。不穏な噂の行方が気になる。
(無料記事・了)
2016年12月27日
【無料記事】トランプ大統領「アーミテージ・グリーン」両氏〝粛清〟
アメリカでトランプ政権の人事が進み、ワシントンで異変が起きている。
これまで日本の政財界の要人、関係者がワシントンを訪れると、必ず〝参詣〟したリチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン元NSC(国家安全保障会議)上級アジア部長、この2人の存在感が、急速なスピードで消滅しているというのだ。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】ドナルド・トランプ次期大統領・公式サイトより
(https://www.donaldjtrump.com/contract/)
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共和党の政権奪還は8年ぶり。今こそ両氏の出番、のはずだったが、大統領選で反トランプを鮮明にしたため、蚊帳の外に追いやられてしまったのだ。ワシントンのシンクタンク関係者が言う。
「政権移行チームは、過去にトランプ氏を批判した人物を細かくチェックしている。アーミテージ、グリーンの両氏はずばり、ブラックリストに入っていますよ」
特にグリーン氏は8月、「トランプ氏が大統領に就任すれば、我々の国家の安全保障と、国民の幸福が危険にさらされる」と声明を出した、共和党の安全保障の専門家の1人だ。アーミテージ氏も、共和党ではなく、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏に投票すると明言していた。在ワシントンの関係者が明かす。
「日本の政界関係者がワシントンを訪れる際は、アーミテージ、グリーンの両氏と必ず会談を行っていました。特に他にセッティングできるアメリカ側の要人がいない時こそ、両氏の出番だったんです。財界やマスコミも同じです。両氏は日本開催のセミナーでもパネリスト常連で、高額の講演料が支払われています。具体例を挙げれば、朝日新聞はグリーン氏が新婚の際、夫人の旅費まで提供していたほどです」
つまり、アーミテージ・グリーン、日本政府・政治家、マスコミを含む財界、という、『日本利権トライアングル』が形成されていたのだ。
関係者によると、この利権構造から排除されてきたのが、AEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)のマイケル・オースリン日本研究部長や、ディック・チェイニー前副大統領(75)の国内政策担当補佐官だったアド・マチダ氏らだという。特にオースリン研究部長は、グリーン氏が意図的にパージしてきたとされる。
だが、トランプ政権の誕生により、逆転現象が起きた。既にアド・マチダ氏は政権移行チームに入っている。何らかのポストに就く見通しが濃厚だ。
「トランプ政権の行方は不透明だが、強固な〝日本利権〟の構造に変化が生じたのは間違いない。特に米側関係者の若返りが進むだろう。私個人としては、この動きは評価したいと思う」
意外にも、先のシンクタンク関係者は好意的な評価を下す。アド・マチダ氏は、その名の通り日系。これからのキーパーソンとなるのは間違いないようだ。
(無料記事・了)
2016年12月7日
【完全無料記事】中国共産党「トランプは病死か暗殺」と予言!?
全世界の予測を裏切り、ドナルド・トランプ氏(70)の勝利に終わった米大統領選だが、中国共産党指導部には、
健康問題が危惧されており、最悪の場合、1期4年間は保たない場合も考えられる
との分析、予測が報告されていたことが分かった。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】ドナルド・トランプ次期大統領の公式サイトより (https://www.donaldjtrump.com/)
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報告は内部文書によるもの。ニュースソースは北京の外交筋だ。
この内部文書だが、
トランプ氏は歴代最高齢の70歳で大統領就任。心臓や血管系の疾患など健康問題が懸念されており、最悪の場合は1期4年保たない場合も考えられる
と注意を促すほか、
トランプ氏は民主党支持者だけでなく、共和党内にも敵が多く、暗殺の可能性も捨てきれない
など、かなり不気味な〝予言〟も書かれている。
文書の作成に関わったのは、ワシントンやニューヨークなどに駐在する中国外交官、中国の大学や研究機関に勤務するアメリカ専門家、国営新華社通信などのアメリカ特派員、といったメンバー。
執筆、報告時期は選挙期間中だったため、トランプ次期大統領だけでなく、ヒラリー・クリントン氏に対する分析も記載されている。
大統領選の投票日は11月8日だったが、その1週間前に習近平主席ら党指導部に配付されたほか、コピーが部数限定で外務省や研究機関に送付されたそうだ。
関係者によると、内部文書は大統領選の結果について「トランプ氏の当選可能性は低い」と結論付けていたという。トランプが当選するとの予想はアメリカでも皆無だったことを考えれば仕方ないかもしれないが、外れたことは事実だ。
やはり分析全体の正確性を疑ってしまうわけだが、トランプ氏が当選した場合は「アメリカの対中政策は経済・貿易を中心に厳しいものになる」と冷静に警鐘を鳴らしている。論調が全く浮ついていないところは、評価に価するはずだ。
いよいよ本題であるトランプ次期大統領の健康問題に関する分析に進むが、やはりというか何というか、これがなかなか興味深いのだ。
文書では、トランプ氏の主治医がロイター通信に対して、
健康問題はとても良好だ。過去にアルコールや喫煙の習慣もない。当選すれば、疑いなく史上最も健康な大統領になるだろう
との診察結果を示したことを紹介する。ところが、この文書の執筆者たちは、医師の見解を全く信用しないのだ。
この報告では総コレステロール値などの重要な数値が欠如しており、選挙戦を有利に進めるため、虚偽の数値を羅列した疑いがある
などと指摘している。そして文書は核心へ進む。
トランプ氏はすでに70歳で、これまでの最高齢のロナルド・レーガン大統領の年齢を超えている。大統領職を務めるうえでのストレスなどを考えれば、いつ、心臓や脳内の血管が切れてもおかしくない
北京の外交筋が解説する。
「あの内部文書は、『トランプ氏は遊説中、少なくとも5回、暗殺の危機に見舞われた』との事実を明かすなど、現場に密着し、深く調査しなければ分からないはずの内容も含まれていました。確かに大統領選の勝者予測は外れていますが、だからこそ選挙期間中から中国は事細かにトランプ氏をウォッチしていたことを再認識させられました。いずれにしても、文書を読むと、トランプ大統領の前途は様々な面で多難であると想像させられましたね」
権力闘争の激しさは、かつての共産圏が頭一つ図抜けていた。その〝伝統〟を受け継ぐ中国共産党にとって、アメリカの激動・暗闘に関する分析は、お手の物なのかもしれない。