2017年1月10日
【無料記事】トランプ新大統領就任で「米朝戦争」勃発の観測
「トランプ新大統領の就任で、いよいよ米軍が北朝鮮に大して動くかもしれない」
駐米関係者の間で、こんな噂が流れている。出所は防衛省との憶測も飛ぶ。
アメリカが「悪の枢軸」と決め付ける北朝鮮に対し、本当に軍事作戦を行うというシナリオを、突拍子もない流言飛語だと断言するわけにはいかない。これまで国連の安保理決議を経ないどころか、議論さえ行われていない段階で米軍が軍事介入に踏み切ったケースは決して少なくないのだ。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】2016年12月、北朝鮮の首都平壌で開かれた中央追悼大会に出席した金正恩・朝鮮労働党委員長(撮影 共同通信) ■――――――――――――――――――――
例えば1991年の湾岸戦争や、2003年から続くイラク駐留と平行して、アメリカは中南米諸国に対する政治・軍事介入を積極的に行っている。我々と直接的な利害関係の少ない中南米における米軍の行動は、なかなか国内メディアでは報じられない。
古くは89年、パナマのノリエガ将軍は夜中に米軍の急襲を受け、米国内へ強制的に移送させられた。フロリダ州の刑務所に収監されたこともある。
こうした軍事作戦を米軍は「民主主義回復作戦」などと名付け、れっきとした独立国の元首さえ〝葬って〟きた。作戦が成功すれば、アメリカ政府に友好的な新政府が樹立されるのも定跡だ。
介入される国家にとってはたまったものではない。軍事作戦を行うにあたり、「民主主義など普遍的な価値観を共有しているか否か」といった規準が提示されるとはいえ、要するにアメリカの都合によって決められるのだ。暴虐も甚だしいが、世界一の軍事超大国が相手なのだからどうしようもない。
米軍にとっては覇権の空白域だったアフガニスタンなどユーラシア大陸の内奥さえ、02年の同時多発テロ以降における「テロとの対決」で、遂にアメリカ政府に対して歩み寄らせることに成功している。
だが、そのアメリカでさえも扱いを持て余しているのが、〝偉大なる首領様〟が率いる北朝鮮だ。改めて正式名称を確認しておけば「北朝鮮民主主義人民共和国」となる。笑止千万だが建前は一応「民主主義」国家なのだが、実態が正反対なのはもはや説明の必要もないだろう。
覚せい剤の輸出や、偽米ドルの製造拠点を潰す、といった「大義名分」には事欠かないが、アメリカが本気になるには「利権」が必要だ。さるアメリカ人アナリストは「トランプ新政権が米軍を動かすだけのメリットは充分にあります」と指摘する。
「北朝鮮は世界有数の資源国なのです。とりわけ中国国境沿いの山脈には貴重な鉱石が豊富に埋まっていると見られています。しかも北朝鮮の技術力では掘削が難しく、大半が手付かずなのです。そこに先進テクノロジーを持ち込めば、まさに宝の山。アメリカだけでなく、日本や韓国、中国も虎視眈眈と狙っているのです」
日本の商社なども日朝の国交正常化を見込み、北朝鮮国内の資源開発に高い関心を抱いてきた。しかしながら、今は日朝の外交ルートは冷え切っている。常識的に考えれば、北朝鮮の開発利権で最も有利なポジションに位置しているのは、中国と韓国となる。
ところが、ここで大逆転を狙っているのがアメリカというわけだ。
「仮に金正恩政権が自壊したシナリオを検討してみましょう。次の政権が中国寄りとなるか、韓国寄りとなるかは、世界史レベルの最重要事項です。前者の場合、米国の覇権は韓国にとどまり、第二次大戦後の環太平洋におけるアメリカの安全保障戦略は、半世紀を経ても日本と韓国という〝友好国〟しか持てなかったという、『進度ゼロ』という結論に至ります。対して後者の場合、北朝鮮の親米政権を通じてアメリカは中国の国境沿いまで政治・軍事両面のプレゼンスを発揮できるようになるのです」(同・アメリカ人アナリスト)
アメリカが北朝鮮で軍事作戦を行い、金〝王朝〟を潰し、親米政権を樹立させる──基本はイラク戦争と同じシナリオになるが、成功した時のメリットは計り知れない。北朝鮮の資源確保は言うに能わず、朝鮮戦争の借りを返すことができるのだ。おまけに北朝鮮が国家として存続すれば、自壊時の難民発生や、中国進出などの混乱を避けることもできる。
「一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も見込める外交政策なのです。21世紀が中盤に差し掛かるにつれ、アメリカにとって北朝鮮が最重要の安全戦略ポイントとなる可能性は増す一方であり、絶対に譲れない橋頭堡なのです」(同)
なるほど、アメリカが単なる正義感から北朝鮮を「悪の枢軸」呼ばわりするわけはない。裏には経済面での思惑──彼らからすれば〝国益〟ということになる──も隠されていたのだ。極東の独裁国家に対する執拗な関与も納得できるというものだ。
こうした素地の上に、「アメリカ至上主義」を掲げるトランプ新大統領が「棍棒外交」を展開することになる。確かに、あらゆる強硬路線を視野に入れるべきだろう。さる外交筋が次のように解説する。
「防衛省が情報元という噂が事実なら、アメリカ側のソースは国防省ということになるでしょう。背景にはアメリカ国務省と国防省の温度差、あるいは政策アプローチのスタンスが異なることが挙げられます」
アメリカの外交は常に、国務省VS国防省の〝対立〟によって形成される。北朝鮮を巡っても以前から両者の〝相異〟は指摘されてきたという。だが時期や状況に応じて、両者が和解したとか、現場では深い溝が消えていないとか、様々な観測が飛び交う。
「これまでは国務省が全面に出て、北朝鮮問題を仕切ってきました。しかしながら、裏では国防省が北朝鮮の現体制を転覆、崩壊させるシナリオを描いているのです。注意して頂きたいのは、たとえ北朝鮮が親米政権だったとしても、それは変わらないのです。CIAを筆頭とする情報機関は、日本という疑う余地のないほどの親米政権でさえ、動向を操作したいと仕掛けてきます。今、この瞬間にも自民党内部の情報を細かく集め、分析を積み重ねているのです」
要するに外交には常に裏と表があるのだ。国務省が表を担当し、国防省が裏を担う。クーデターや親米政権の樹立という強硬策は国防省が単独でシナリオを描く。
その上で、具体的な情報も流れている。米軍の新たな動きが、金正恩政権への強襲情報に真実味を与えているというのだ。日本の外交関係者が明かす。
「米軍もCIAも、ずっと以前から『金王朝』を下から転覆させようと目論んできました。そして現在、アメリカは北朝鮮がミサイル搭載は可能なレベルにまで、核弾頭をダウンサイジングしたと見ています。北朝鮮がミサイル実験を強行すればするほど、アメリカは軍事介入に都合のいい状況となるわけです」
これまで北朝鮮は多国間協議を「打ち出の小槌」と見なしたかのように、援助を引き出す道具として使ってきた。だがアメリカは、こうした北朝鮮の戦略に対し、明らかに業を煮やしているのだという。オバマの対北朝鮮戦略が手詰りになったことを示すだけではなく、北朝鮮はやり過ぎてしまったのだ。
「北朝鮮の見通しが甘いのは、多国間協議に参加する振りをしている限り、引き延ばし外交は永遠に続くと考えているところにあります。しかしアメリカサイドに立てば、多国間協議と真摯に向き合い、多くの時間を割いていると国際社会に認知させれば、決裂後の独自行動に対し、世界が許容してくれる可能性が高まります。政権を転覆させるが、金正恩の命は保証し、中国に亡命させる、というシナリオも現実味を増すわけです」
北朝鮮と中国の関係は、かつてほど良好ではない。本当に金正恩が中国に亡命するなどということは起こりうるのだろうか。
「パキスタンなど、北朝鮮が軍事技術や武器を輸出している国も、亡命先になりえるかもしれません。反米的な国であればあるほど、金正恩にとって自分を守ってくれるという期待は高まります。とはいえ、〝首領様〟がパキスタンという〝貧乏国〟で余生を送ることを了承するかといえば、それは疑問です。現実的に考えれば、やはり最も可能性が高いのは中国でしょう。国を追われた金ファミリーを、昔の友誼から引き受けたということになれば、アジアの大国としての面子にはメリットです」
とはいえ、国際社会への建前もある。首都北京で「賓客」としての生活を送る──そんな予測は不可能なのだという。
「中国南部の南寧からさらに山沿いの辺区と呼ばれる政治や経済の中心地からは離れたところが候補になるのではないでしょうか。この辺りは、東南アジア諸国とも国境が近く、決して金家が余生を過ごすにも悪くない場所です。現実的には、それなりの待遇で持てなすにせよ、国際社会に対する弁解として、〝幽閉〟というイメージも生み出すことができます」
果たして、「偉大なる首領さま」が中国の辺境に送られる日が現実に来るのだろうか。不穏な噂の行方が気になる。
(無料記事・了)
2016年12月27日
【無料記事】トランプ大統領「アーミテージ・グリーン」両氏〝粛清〟
アメリカでトランプ政権の人事が進み、ワシントンで異変が起きている。
これまで日本の政財界の要人、関係者がワシントンを訪れると、必ず〝参詣〟したリチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン元NSC(国家安全保障会議)上級アジア部長、この2人の存在感が、急速なスピードで消滅しているというのだ。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】ドナルド・トランプ次期大統領・公式サイトより
(https://www.donaldjtrump.com/contract/)
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共和党の政権奪還は8年ぶり。今こそ両氏の出番、のはずだったが、大統領選で反トランプを鮮明にしたため、蚊帳の外に追いやられてしまったのだ。ワシントンのシンクタンク関係者が言う。
「政権移行チームは、過去にトランプ氏を批判した人物を細かくチェックしている。アーミテージ、グリーンの両氏はずばり、ブラックリストに入っていますよ」
特にグリーン氏は8月、「トランプ氏が大統領に就任すれば、我々の国家の安全保障と、国民の幸福が危険にさらされる」と声明を出した、共和党の安全保障の専門家の1人だ。アーミテージ氏も、共和党ではなく、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏に投票すると明言していた。在ワシントンの関係者が明かす。
「日本の政界関係者がワシントンを訪れる際は、アーミテージ、グリーンの両氏と必ず会談を行っていました。特に他にセッティングできるアメリカ側の要人がいない時こそ、両氏の出番だったんです。財界やマスコミも同じです。両氏は日本開催のセミナーでもパネリスト常連で、高額の講演料が支払われています。具体例を挙げれば、朝日新聞はグリーン氏が新婚の際、夫人の旅費まで提供していたほどです」
つまり、アーミテージ・グリーン、日本政府・政治家、マスコミを含む財界、という、『日本利権トライアングル』が形成されていたのだ。
関係者によると、この利権構造から排除されてきたのが、AEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)のマイケル・オースリン日本研究部長や、ディック・チェイニー前副大統領(75)の国内政策担当補佐官だったアド・マチダ氏らだという。特にオースリン研究部長は、グリーン氏が意図的にパージしてきたとされる。
だが、トランプ政権の誕生により、逆転現象が起きた。既にアド・マチダ氏は政権移行チームに入っている。何らかのポストに就く見通しが濃厚だ。
「トランプ政権の行方は不透明だが、強固な〝日本利権〟の構造に変化が生じたのは間違いない。特に米側関係者の若返りが進むだろう。私個人としては、この動きは評価したいと思う」
意外にも、先のシンクタンク関係者は好意的な評価を下す。アド・マチダ氏は、その名の通り日系。これからのキーパーソンとなるのは間違いないようだ。
(無料記事・了)
2016年12月7日
【完全無料記事】中国共産党「トランプは病死か暗殺」と予言!?
全世界の予測を裏切り、ドナルド・トランプ氏(70)の勝利に終わった米大統領選だが、中国共産党指導部には、
健康問題が危惧されており、最悪の場合、1期4年間は保たない場合も考えられる
との分析、予測が報告されていたことが分かった。 ■―――――――――――――――――――― 【写真】ドナルド・トランプ次期大統領の公式サイトより (https://www.donaldjtrump.com/)
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報告は内部文書によるもの。ニュースソースは北京の外交筋だ。
この内部文書だが、
トランプ氏は歴代最高齢の70歳で大統領就任。心臓や血管系の疾患など健康問題が懸念されており、最悪の場合は1期4年保たない場合も考えられる
と注意を促すほか、
トランプ氏は民主党支持者だけでなく、共和党内にも敵が多く、暗殺の可能性も捨てきれない
など、かなり不気味な〝予言〟も書かれている。
文書の作成に関わったのは、ワシントンやニューヨークなどに駐在する中国外交官、中国の大学や研究機関に勤務するアメリカ専門家、国営新華社通信などのアメリカ特派員、といったメンバー。
執筆、報告時期は選挙期間中だったため、トランプ次期大統領だけでなく、ヒラリー・クリントン氏に対する分析も記載されている。
大統領選の投票日は11月8日だったが、その1週間前に習近平主席ら党指導部に配付されたほか、コピーが部数限定で外務省や研究機関に送付されたそうだ。
関係者によると、内部文書は大統領選の結果について「トランプ氏の当選可能性は低い」と結論付けていたという。トランプが当選するとの予想はアメリカでも皆無だったことを考えれば仕方ないかもしれないが、外れたことは事実だ。
やはり分析全体の正確性を疑ってしまうわけだが、トランプ氏が当選した場合は「アメリカの対中政策は経済・貿易を中心に厳しいものになる」と冷静に警鐘を鳴らしている。論調が全く浮ついていないところは、評価に価するはずだ。
いよいよ本題であるトランプ次期大統領の健康問題に関する分析に進むが、やはりというか何というか、これがなかなか興味深いのだ。
文書では、トランプ氏の主治医がロイター通信に対して、
健康問題はとても良好だ。過去にアルコールや喫煙の習慣もない。当選すれば、疑いなく史上最も健康な大統領になるだろう
との診察結果を示したことを紹介する。ところが、この文書の執筆者たちは、医師の見解を全く信用しないのだ。
この報告では総コレステロール値などの重要な数値が欠如しており、選挙戦を有利に進めるため、虚偽の数値を羅列した疑いがある
などと指摘している。そして文書は核心へ進む。
トランプ氏はすでに70歳で、これまでの最高齢のロナルド・レーガン大統領の年齢を超えている。大統領職を務めるうえでのストレスなどを考えれば、いつ、心臓や脳内の血管が切れてもおかしくない
北京の外交筋が解説する。
「あの内部文書は、『トランプ氏は遊説中、少なくとも5回、暗殺の危機に見舞われた』との事実を明かすなど、現場に密着し、深く調査しなければ分からないはずの内容も含まれていました。確かに大統領選の勝者予測は外れていますが、だからこそ選挙期間中から中国は事細かにトランプ氏をウォッチしていたことを再認識させられました。いずれにしても、文書を読むと、トランプ大統領の前途は様々な面で多難であると想像させられましたね」
権力闘争の激しさは、かつての共産圏が頭一つ図抜けていた。その〝伝統〟を受け継ぐ中国共産党にとって、アメリカの激動・暗闘に関する分析は、お手の物なのかもしれない。