ご存じの通り、11月22日に実施された大阪府知事・大阪市長を選ぶ「大阪ダブル選挙」は、どちらも橋下徹氏が〝暫定代表〟を務める地域政党「大阪維新の会」が勝利を収めた。 市長選では吉村洋文氏(40)が、自民党推薦の柳本顕氏(41)に20万票差。松井一郎知事(51)にいたっては、やはり自民推薦の栗原貴子氏(53)をダブルスコアに迫る得票差で再選を果たした。圧勝と言っていいだろう。 だが大阪以外の地域、例えば東京では、この結果を意外と受け止める人もいるようだ。確かに目玉政策として掲げた大阪都構想は住民投票で否決され、党内の分裂騒動もいまだ収束を見せていない。もっと拮抗した票数になると予測していた方も少なくなかったのではないだろうか。都内に住み、メディア関係の仕事をしている私の知人も、選挙結果には驚いたと言う1人だ。 「橋下氏は住民投票で都構想が否決されると、『政界引退』を宣言した。だが今のところ、それは嘘なんじゃないかという疑問がぬぐえない。維新内部でも泥仕合が延々と続いている。正直、大阪では辟易した有権者が多いんだとばかり思っていたよ」 私は31歳の男性ライターだ。もともと他県で育ち、会社勤めを経て2011年に大阪に移り住んで府民となった。大阪市民ではないので、今回のダブル選挙では知事選にしか投票できなかった。だが、在阪メディアが選挙戦をどう報じてきたかは、人並みには把握しているつもりだ。 例えば選挙翌日、新聞各紙の1面は「大阪維新ダブル選制す」(大阪日日新聞)「大阪ダブル選 維新完勝」(産経新聞)というシンプルなものだった。非常に冷静な報道が続いたというのが私の実感だ。 ハイブリッド、といえば大げさかもしれないが、私は東京の知人が驚きを見せたことも、関西では「当然の選挙結果」だと受け止めていることも、少なくとも感覚的には、どちらも理解できる。
そもそも、維新の会を巡る報道では、「驚く東京に、納得する大阪」という図式が繰り返されてきたはずだ。ここまで繰り返されれば「両都市の価値観の違い」と切って捨てることもできるのだろうが、やはり私には追求すべきテーマだと思う。なぜ、大阪府民と市民は、他地域の有権者にとっては「非常識」な投票行動を行ったのだろうか。改めて在阪の関係者に取材してみた。